社会保障給付費(社会支出)の対GDPは、日本の18.6%がトップであり、日本と同じOECD加盟国のニュージーランド、オーストラリアが日本に次いで高くなっている。 その他のアジア・太平洋地域では、ほとんど10%以下であり、中国をはじめ、4〜5%の諸国が多く、中には1%台の国もあるという状況である(最低はパプアニューギニアの0.3%)。社会保障にはなお手が回っていない状況が明かである。 ここでの社会保障給付の給付区分はOECDの給付区分の定義(図録2798参照)とはかなり異なっているので厳密には比較できないが、通常、社会保障の柱となる年金、医療などの社会保険が日本、中国、マレーシアなどを除くと、まだ大きな役割を果たしていないことが分かる(フィリピンやパキスタンの社会保険比率は高いが母数となる社会保障給付費の対GDP比率自体が低いので社会的な役割の大きさはそれほどではないと考えられる)。 また、アジア・太平洋では「マイクロファイナンスやコミュニティ・ベースの社会支出」が大きな役割を果たしている地域が多いという特徴も見て取れる。特にバングラデシュ、スリランカ、ブータン、カンボジアといった国でこの点が目立っている(バングラデシュのマイクロファイナンスについては図録1055参照)。 この他、「子育て支援」に力を入れている国(ブータンなど)、雇用対策に力を入れている国(韓国、ネパール)など各国ごとに特徴が見られる。 取り上げた27か国を社会保障給付費対GDP比の高い順に掲げると日本、ニュージーランド、オーストラリア、キルギス、モンゴル、韓国、スリランカ、アゼルバイジャン、バングラデシュ、中国、カザフスタン、アルメニア、ベトナム、インド、マレーシア、フィジー、ネパール、フィリピン、インドネシア、パキスタン、モルディブ、ブータン、カンボジア、ラオス、トンガ、タジキスタン、パプアニューギニアである。 (2012年3月5日収録)
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