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 消費支出に占める食費の割合であるエンゲル係数について、県庁所在都市別に調べてみることとする。

 エンゲル係数は、所得水準が上がるにつれて低くなるというのがエンゲルの法則である。これは時系列的にも地域的にも当て嵌まっているとされる。ここでは、都道府県の県庁所在市別に、所得の代理変数として世帯当たり消費支出額をX軸にとり、エンゲル係数をY軸にとった相関図を示した。

 エンゲル係数が最も高いのは大阪市の29.1%であり、京都市(28.8%)、神戸市(28.2%)、青森市(27.8%)がこれに続いている。最もエンゲル係数が低いのは、高松市(22.5%)であり、山口市(23.4%)がこれに次いでいる。

 消費支出との相関は、エンゲルの法則どおり、負の相関となっているが、相関の程度を示すR2値は0.2636とそれほど大きくない。

 例えば、大阪市は家計の消費額が少ないからエンゲル係数が大きいという側面より、「食」への傾斜度が所得水準の割に大きいという側面が目立っている。京都や神戸、東京、横浜などもそうした側面が大きい。これらはいわば「食い倒れ」都市なのである。一次回帰式の直線をオレンジ色で示しているが、この直線より上に離れれば離れるほど「食い倒れ度」が高いといえる。

 逆の方向に片寄っていることで目立つのは大分市、鹿児島市、高松市などである。消費額の水準の割にエンゲル係数が低く、「慎ましい食生活」の都市だといえる。

 同様なことが中国では北部と南部で成り立っており、中国南部は消費水準が高いのにエンゲル係数も高く、中国北部に比べて「食い意地」が張っていると見られる点については図録8520参照。

 大阪圏の都市でエンゲル係数が高く、東京圏の都市でエンゲル係数が消費支出の水準の割に高いのは、大都市圏では食料品の価格が高いからかもしれないという疑問が生じるであろう。

 確かに、東京、横浜などは、全国平均より3%前後食料品価格が高いので、そういう面も無視できない。しかし、大阪、京都、神戸などは、割高とはいっても1%以下であり、そうした面からの高エンゲル係数とはいえない。表示選択で、食料品の価格水準を加味した実質エンゲル係数で描いた同様の相関図を掲げたが、R2値はむしろ低まっており、食料品価格でエンゲル係数が左右されているとは言えない。

 食い意地だけでなく、家計におけるスマホ代負担の差がエンゲル係数にまで影響を及ぼしていると考えられる点については図録7718参照。

(2020年10月1日収録)


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