3大都市圏への人口流入の状況の長期推移については図録7675で示した。オイルショック以降は東京圏への一極集中が進んでいることが明らかである。東京圏のうちいずれの地域で人口流入が大きいかについては図録7680で示し、21世紀に入ってからは東京23区への流入が多く、「都心回帰」というべき状況が続いている。

 こうしたデータでは、日本のどこに人口が多く流入しているかは明らかになっているが、どこからの人口流出が多くなっているかは示されていない。そこで、ここでは、都道府県間の移動について、最近の都道府県別の転入と転出の移動率、および純移動率(転入超過率)を示した。

 転入超過率については、東京圏を構成する東京が0.48%とki最も高く、埼玉、神奈川が0.3%台でこれに続いている。同じ東京圏でも千葉は0.08%と転入超過率はそれほど高くない。東京圏以外では、大阪の0.12%が最も高く、福岡の0.09%がこれに次いでいる。そのほかでプラスの都道府県はない。

 逆に、流出が流入を上回っている減少地域について見てみよう。

 最も転入超過率が低い(すなわち転出超過率が高い)のは長崎の-0.51%である。

 東京圏から遠い遠隔地ほど転入超過率が低いかというとそうではない。北海道は-0.10%、沖縄は-0.03%とマイナスだけれどもプラスマイナスゼロに近い。そのほか、大都市圏以外のプラスマイナスゼロの地域としては、東京圏に比較的近い北関東や山梨・長野が目立っている。

 すなわち、プラスマイナスゼロ地域にも、北海道、沖縄などの「遠隔地型」と北関東、東山などの「東京圏近傍型」とがあると言えよう。

 転入超過率の低い順、すなわち人口流出率が多い順に地域を並べると以下である。

 1.長崎 -0.51%
 2.青森 -0.48%
 3.福井 -0.46%
 4.広島 -0.42%
 5.岩手 -0.40%

 このうち1位の長崎は転入率はそれほど高くないが、転出率が高い点が目立っている。逆に2位の青森は転出率はそれほど高くないが、転入率が低い点が目立っている。長崎では大学入学や就職などでともかく出ていく人が多い。青森では、いったん出て行った人が戻ってくるケースが少ないという特徴が見て取れる。

 広島やその他の中国地方などは「たくさん出ていく長崎型」、福井や青森以外の東北地方(宮城を除く)は「戻ってこない青森型」で人口流出が多いといってもよかろう。


 国内地域の地域間人口移動についての国際比較は図録1173mに掲げたので参照されたい。それを見ると日本は諸外国に比べて移動の少ない国であることが分かる。

(2024年5月13日収録)


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