国際比較で重要なのは、第1に移動者数そのものでなく人口比で比較する必要がある。第2に移動が市町村間の移動のレベルなのか都道府県間の移動のレベルによって移動者数も変わってくるので、各国でほぼ都道府県の地域レベルにそろえた移動者数を比べる必要がある。 この第2の目的のため、OECDでは地域レベルをTL2、TL3に区分している(巻末コラム参照)。 ここではOECDの報告書からTL3レベル(日本では都道府県)での国内移動者数の対人口比を比較した。 OECD31か国の比較で、国内移動率は最低の0.5%(スロバキア)から最高の4.7%(韓国)までかなりの幅がある。 日本は下から9番目の1.8%と比較的低い移動率であることが分かる。日本人は移動好きの国民とは言えないようだ。この点は、過去に移住したことがあるかを聞いた国際意識調査の結果とも整合的である(図録1174「移住範囲の国際比較」)。 主要先進国(G7)のランキングを掲げると以下である(カナダ、データなし)。 1.英国 4.5% 2.ドイツ 3.5% 3.米国 3.2% 4.フランス 2.8% 5.日本 1.8% 6.イタリア 0.6% 主要先進国の間でも国内移動率には大きな差がることが分かる。最高は英国であり、ドイツがこれに次ぎ、最低の移動率はイタリアであり、日本よりも低くなっている。 下では、国内のどの地域で最も流入超過率や流出超過率が高いかを国ごとに示す図を掲げた。 チリのように国内移動率は高くないが特定の地域では流出入超過率が高い国もあれば、デンマークのように国内移動率は高いが、目立って高い流出入超過率の地域がない場合もある。 首都地域に着目して図を見ると、スロバキアのブラチスラヴァや日本の東京のように国内の中で流入超過率が最も高い場合もあれば、フランスのパリやベルギーのブリュッセルのように国内の中で最も流出超過率が高い場合もある。 日本の流入超過率トップは東京都であり、流出超過率トップは長崎県である。その他の都道府県の流出入率、同超過率については図録7684参照。 (2024年5月17日収録)
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