日本の特徴は、何といっても「さまざまな国で暮らしてきた」人の割合が1.1%と40か国中最小である点である。すなわち、日本ほど暮らしの場所という側面での国際化が進んでいない国はないという結果が印象的である。主要先進国の多くが移民比率10%程度になっているのに対して日本の移民比率が低いことも影響している(外国人人口比率2%未満、図録1171参照)。移民(外国で生まれた者)は少なくとも母国と現在住んでいる国の2か国で暮らしてきたことになるからである。 それにしても日本人の国際流動性は低い。TPP交渉への参加の是非が議論されているが、食糧自給率低下のリスクをかえりみずに「開国」を志向するのであれば、いざというときには国民の半数程度が外国に移り住めるように、韓国のような全国民バイリンガル化計画、また、全世帯が仲良し海外世帯をつくる計画をあらかじめ推進しておくべきだと思われるが、そんな覚悟もないままに政治ゲームのようにことが進んでいるのは妙な感じがする。 下に各選択肢の回答率の上位5位までの国を掲げた。 国際移住の最も多い国はスイスであり、35.2%が他国でも暮らしたことがあるとしている。国内移住の最も多い国はフランスであり、54.4%の者が国内各地での暮らしを経験している。地域移動のない人が多い国として目立っているのは、フィリピンであり、57.0%が同じまちや村で暮らしてきたとしている。 日本は国際移住が少ない反面、国内移住が多いかというとそうでもない。国内の複数の地域で暮らした経験のある者は24.4%と25位と世界の中でも半分以下の順位にある。そして、同じ市や町で暮らしてきた者は43.8%と40か国中9位の高さであり、こうした側面からも流動性はかなり低いのである。
ここで、比較対照となっている国の数は40か国である。具体的には、「さまざまな国で暮らしてきた」の低い順に、日本、ドミニカ共和国、フィリピン、韓国、メキシコ、トルコ、ハンガリー、ベルギー、チェコ、ベネズエラ、チリ、南アフリカ、台湾、ポーランド、ロシア、スロバキア、ウクライナ、ウルグアイ、スロベニア、オランダ、イタリア、フィンランド、ラトビア、クロアチア、フランス、デンマーク、オーストリア、米国、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、キプロス、ドイツ、英国、ポルトガル、アイルランド、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランド、スイスである。 (2011年11月7日収録)
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