新聞には、全国で販売される全国紙と特定の地方を販売対象とする地方紙とがある。日本の地方紙には、県域を越えて販売されるブロック紙と県単位で販売される県紙、さらに県内地域紙がある。

 県紙の多くは戦時下の「一県一紙」統制時に多数の新聞を統合してその県の唯一の地元紙として成立した新聞であり、戦後に創刊され、これらに準じる配布域を持つに至った新聞も含まれる。その際、複数の都府県での販売が認められた地方紙があり、「ブロック紙」と称された。すなわち、東京新聞、中部日本新聞(現在の中日新聞)、大阪新聞、西日本新聞の4紙である。現在、大阪新聞はなくなり、北海道新聞などもブロック紙に加えられている。

 図には都道府県別に販売部数上位3位までの新聞の世帯普及率を積み上げたグラフを掲げた。なお、事業所購読、店舗販売、重複購読があるので厳密に言えば世帯普及率ではないし積み上げられるような数字でもない点には留意が必要だ。

 図から一目瞭然であるように、都道府県ごとに特定の地方紙がトップシェアを保っていることが分かる。トップ紙が全国紙であるのは、南関東4都県に茨城、近畿の滋賀、大阪、奈良、和歌山、及び山口を加え、10都府県のみである。大都市圏に含まれない地方圏では茨城、和歌山、山口の3県のみであり、この3県には特殊事情があると見なければならない。

都道府県別の普及率の高さのトップテンを掲げると以下である。

1.福井新聞(福井)68.07%
2.日本海新聞(鳥取)67.99%
3.徳島新聞(徳島)67.18%
4.北國新聞(石川)63.17%
5.山陰中央新報(島根)60.49%
6.山梨日日新聞(山梨)56.64%
7.北日本新聞(富山)55.80%
8.信濃毎日新聞(長野)54.74%
9.秋田魁新報(秋田)53.36%
10.高知新聞(高知)49.65%

 北海道新聞を除くブロック紙は複数県で3位以内となっている。

 特に勢力圏の大きさが目立つのは中日新聞であり、本拠地の愛知のほか、岐阜や三重でも1位、静岡でも浜松など県西で主流となっていることから県内2位、石川でも北陸中日新聞として2位となっている。このほか、ABC部数はないが公称部数では福井2位の日刊県民福井も中日新聞系である。さらに中日新聞は1967年には都新聞以来の伝統を有する東京新聞を完全に傘下に収めている。これらを合わせると販売部数は全国紙の毎日、日経、産経を上回っているといわれる。

 西日本新聞も本拠地の福岡のほか佐賀、長崎を含めた九州北部で大きな商圏を維持している。

 このほか、県紙ではあるが、石川の北國新聞が富山でも富山新聞として、また、京都の京都新聞が滋賀でも一定の勢力を保有しており、ミニブロック紙的な動きとなっている。

 ブロック紙と県紙の競合ではなく、地方紙が2紙存在している県は、青森、福島、沖縄である。

 青森のデーリー東北は八戸を拠点とする旧南部藩地域の地方紙であり、全県紙の東奥日報と並立している。

 福島ではともに福島市に本社を置く福島民報と福島民友が並立している。

 沖縄の2紙については、「1945年7月時点で米軍の準機関紙「ウルマ新報」(現・琉球新報)が、教師などの新聞発行未経験者の手により発行されていたが、沖縄タイムスは「新聞人による新聞発行」を目指し、1948年7月1日創刊された」という(ウィキペディア2019.8.14)。

 地方紙の論調の特徴としては反権力があげられる。保守的だとされる地方で逆に新聞はむしろ権力に批判的であるのは興味深い。この点については、「集団的自衛権行使容認閣議決定に対する地方新聞の社説・論説の見出し」を掲げた図録j018参照。

 図に取り上げた地方紙を掲げると北海道新聞、東奥日報、デーリー東北、岩手日報、河北新報、秋田魁新報、山形新聞、福島民報、福島民友、茨城新聞、下野新聞、上毛新聞、新潟日報、北日本新聞、北國新聞、北陸中日新聞、福井新聞、山梨日日新聞、信濃毎日新聞、岐阜新聞、静岡新聞、中日新聞、京都新聞、京都新聞、神戸新聞、日本海新聞、山陰中央新報、山陽新聞、中国新聞、徳島新聞、四国新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、佐賀新聞、長崎新聞、熊本日日新聞、大分合同新聞、宮崎日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムス、琉球新報である。このほか(注)で取り上げた地方紙は陸奥新報、岩手日日、北羽新報、日刊県民福井、長野日報、伊勢新聞、奈良新聞、島根日日新聞、南海日日新聞である。

(2019年8月14日収録)


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