全国の未婚率の時系列推移を図録1540に示したが、ここでは都道府県別の未婚率をグラフにした。更新前の2005年国調の結果は図録7341x

 未婚率は、未婚者数を人口で割った数字であるが、人口総数を対象とした未婚率よりも年齢別の未婚率の方に意味がある。

 「若年未婚率」(結婚適齢期である30歳未婚率)は、その地域では結婚が早いか遅いかをあらわし、「生涯未婚率」とされる50歳未婚率は、その地域で結婚をしない者が多いか少ないかをあらわす。

 なお、50歳の未婚率が生涯未婚率とされているのは、この年齢以降は未婚率がほとんど下がらない点、また女性の出産年齢が50歳未満では極めて稀である点によるものと考えられる。もちろん例外的なケースはありうるのであって、あくまで統計的、便宜的な設定ととらえる必要がある。

 都道府県別の未婚率について、これまで、目立っていたのは、東京の未婚率が断然高かった点である(上記2005年国調結果参照)。ところが2020年には、女性はなお若年、生涯ともにやや目立っているが、男については、若年未婚率が秋田に次ぐ第2位とやや目立つ程度に変化している。
 少なくとも女性の東京の未婚率が高いのは、東京出身の者は、結婚が遅い、あるいは結婚しない者が多いというより、結婚を急がない者、あるいは一生結婚しない者が東京に集まってきているという側面が強いと考えられる。東京は結婚しなくても不都合のない自由な土地だともいえるし、東京で暮らしているといつの間にか婚期を逃す非人間的都市(東京砂漠)であるともいえる。

 他方、東京の未婚率が特に男性で目立たなくなったのは、地方でも未婚率が大きく上昇したからである。東京の状況が全国化したともいえよう。

 若年未婚率が高い地域を調べると、男では、秋田、東京、茨城、青森、山梨という順になっている。女では、東京、京都、奈良、大阪、神奈川という順になっている。結婚の遅い地域が、男では東京と東北、女では関西の主要都市地域と、男女で大きく異なっているのが分かる。この結果、関西では結婚する男女の年齢差が小さくなっている可能性がある。

 なお、若年未婚率の低い結婚の早い地域としていては、男では、鹿児島が1位、2位以下が宮崎、長崎、熊本と続いており、女では島根が1位、宮崎、山口、愛知が2位以下となっている。九州男児は結婚が早いといえよう。

 次ぎに、生涯未婚率の水準を見ると、男では、かつては沖縄の高さが目立っていたが、2020年では岩手、青森、秋田、埼玉が上位となっている。東北で結婚しない(できない)男が増えている。

 沖縄については、失業率の水準が全国1である(図録7360参照)ことからも推察されるとおり、自由な土地柄というよりは結婚を困難にする経済環境を要因として考える必要があったが、現在は東北などにもそうした困難要因が広がっているのかもしれない。

 女の方は男と異なり、高知が最も高く、これに東京、北海道、大阪、京都、長崎、福岡が続いている。男が東北で生涯未婚率が高いのとは対照的に、四国・九州と大都市で高くなっている。

 なお、男女ともに、福井、滋賀では生涯未婚率が低い点が目立っている。

 最後に、若年未婚率と生涯未婚率の相関については、男女ともにある程度相関している。若い頃に見込んだと生涯も未婚である可能性が高いといえよう。

(2010年6月24日収録、2021年12月10日更新)


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