年齢別の未婚率の推移を、男女別に、20歳代後半、30歳代前半、そして50歳時(いわゆる生涯未婚率(注))について、大正9年(1920年)の第1回国勢調査から示した。

(注)50歳時の未婚率(実際は45〜49歳の未婚率と50〜54歳の未婚率の平均から算出される)は、その後に結婚する人は少ないことから、「生涯未婚率」と称されている。
 なお、ここでの生涯未婚率は、死亡者数に占める未婚者の割合ではない点に注意が必要である。
 ちなみに、2020年の国勢調査による生涯未婚率(配偶関係未詳を除く人口に占める未婚者の割合)は男性が25.7%、女性が16.4%であるのに対して、2020年の人口動態統計によれば15歳以上の死亡者数に占める未婚者の割合は、男性11.1%、女性6.7%となっている。前者が現在の40〜50代の状況を示しているのに対して、死亡数が多い80〜90代の男女は皆婚慣習が成立していた時代の人々であるので後者の未婚割合が低く出るのは当然なのである。

 男性20歳代後半の未婚率は、長期的に、上昇傾向を辿ってきたが、その他の男子年齢、あるいは、女子の未婚率は1970年代前半までは、比較的落ち着いた動きを示していたといえよう。

 ところが、1970年代後半からは、男女各年齢層で未婚率が急上昇し始めた。

 2005年には、男子30歳代前半でも未婚率が5割に近づき、女子20歳代後半の未婚率も約6割となった。

 ところが2010年の新しい動きとしては、20代後半や30代前半の未婚率の上昇幅が、男女ともに、大きく縮小した。そして2015年には男女とも20代後半ではなおやや未婚率が上昇しているが、30代前半では男女ともにほぼ横ばいに転じている。

 一方、生涯未婚率(50歳時の未婚率)は上昇を続けており、2020年には、男性で25.7%、女性でも16.4%に達している。生涯未婚率の上昇は、日本における皆婚慣習の崩壊が近づいているかどうかの指標でもある。男4分の1、女1割5分超が結婚しない社会となってきているのである。

 このような生涯未婚率の大きな変化について歴史上は英国の1555年頃生まれ世代と1605年生まれ世代とで8%から24%まで上昇した事例が報告されている。エマニュエル・トッドは晩婚化や聖書主義ドイツから波及した識字率上昇とともにこうした変化が絶対核家族の登場と並行してあらわれた欧州流結婚モデルの特徴と位置づけている(「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」上、p.228)。

 少子化の要因としても近年は未婚率の上昇が注目されている。2005年までは厳しい状況が続いていたが2010年以降になって新しい動きが示されたといえよう。

 以下に男女年齢別の未婚率の国勢調査5年ごとの対前期上昇幅を示した。以前は、20代後半〜30代後半がおおむね未婚率上昇のピークであったのが、2005〜10年になって、ピークが男女とも40代前半となり、2010〜15年には40代後半、2015〜20年には50代前半となっている。男の場合、30代後半〜40代前半は未婚率が低下している。晩婚化の側面が消え、未婚化の側面だけが目立つようになってきているともいえよう。


 図録7341では若年層の未婚率及び生涯未婚率を都道府県間で比較した。

(2006年1月23日収録、6月30日更新、11月20日2005年国調確報へ更新、2011年6月30日更新、12月31日2010年国調速報値から確報値に更新、2016年6月29日抽出速報による2015年結果、2017年4月6日2015年国調確報値、2021年12月8日2020年国調確報値、2022年11月28日トッド引用、2023年4月19日生涯未婚率の(注)) 


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