関連して、日経BPが調査した世界の創業100年以上・200年以上の長寿企業数の状況は図録5408d参照。 データはウィキペディアの英語版の"List of oldest companies"に掲げられた1851年以前の創業の企業リストである。当サイトでこのリストを国別に集計した結果をグラフにしたものである。 このウィキペディアのリストがどこまで世界の古い企業を網羅的にリストアップしているかは不明であるが、リストの総ての企業にはその企業のホームページへのリンクが付されているので、インターネットのサイトを有していて、そのサイトで確認できる老舗企業の一覧である可能性が高いと考えられる。 例えば日本における200年以上の老舗企業は938社という数字もあるが(図録5407)、ここでのリストの18世紀以前創業の老舗企業数は171と少ない。 このような前提で図録を見ると、まず、19世紀前半までに創業した老舗企業の総数の多い国は、第1位がドイツ、第2位が米国、第3位が日本、第4位が英国、第5位がスイスとなっている。 ドイツには17〜18世紀以来の分厚い老舗企業の集積が認められる。 ドイツが第1位である点は、古くからの職人の国ということで理解できるが、ヨーロッパからの移民でできた新興国である米国が第2位というのは少し意外である。創業世紀別に見ると、米国の老舗企業のほとんどは19世紀に入ってからの創業である点でそれ以前の創業が多いドイツや日本と大きく異なる。そもそも米国は大企業の発祥の国(米国の著名な経営史家チャンドラーは「神の見える手」という副題で「大企業の時代」を著した)であり、そういう意味からは19世紀前半からの企業が多い点もうなずける。 日本の老舗企業の特色は、世界最古の企業や10世紀以前の企業がけっこうあるという点である。日本の老舗企業は多くが中小零細企業であり、そのため企業のサイトがない場合も多く、ドイツ、米国より老舗企業の総数が少ないのもこの影響があるのかもしれない。 フランス、イタリア、オランダなどの国ではもっと老舗企業が多くてもおかしくないと思われるが、ここは、インターネットが英語中心のメディアである点が影響しているのかも知れない。 世界の老舗企業については、自国に老舗企業が少ない点を国際競争力の観点から反省している韓国の銀行が調査報告書を出していることが韓国のニュースで報じられた。興味深いので以下に引用する。 「日本に長寿企業が多いわけは?韓国銀行が分析 【ソウル14日聯合】世界で最も古い企業は?――韓国銀行は14日、「日本企業の長寿要因および示唆点」と題する報告書を発表し、578年に百済から渡った金剛重光(柳重光)が創業した日本の建設会社・金剛組を世界最古の企業として紹介した。日本は世界2位と3位の長寿企業も有する長寿企業大国だとしている。 報告書によると、世界で創業200年以上の企業は5586社(合計41カ国)で、このうち半分以上の3146社が日本に集中しており、続いてドイツ837社、オランダ222社、フランス196社の順となる。韓国には創業200年を超える企業はなく、創業100年以上の企業も斗山(1896年)と東洋薬品工業(1897年)の2社にとどまる。 日本の場合は、創業1000年以上の企業は7社、500年以上は32社、200年以上は3146社、100年以上は5万社余りなどで、これら長寿企業の89.4%は従業員数300人未満の中小企業だ。 報告書は、日本経済が1980年代の円高と1990年代の長期不況から脱したのも、素材・部品分野で先端技術を保有する長寿企業の役割が大きかったとした。また、日本企業がこのように長い歳月のあいだ耐えることができた秘訣(ひけつ)として、▼本業重視▼信頼経営▼透徹した職人精神▼血縁を越えた後継者選び▼保守的な企業運用――などを挙げた。このほか、外国からの侵略が少なかったことや職人を尊重する社会的雰囲気など、外的要因も影響を与えたと分析している。 報告書は、韓国も長寿企業の育成に向け、中核部品の製造技術の研究開発投資に対し税制・金融支援を行う一方、中小企業の成功的な技術開発に対する画期的な補償体系の確立が必要だと強調した。 」(2008/05/14 聯合ニュース) 最後に、ウィキペディアのデータから各国の古い企業10傑を以下に掲げる。 各国の最も古い10企業のリスト
こうした一覧表からうかがえる各国の最古参老舗企業の特徴は以下である。 各国最古参老舗企業の特徴
(2009年11月9日収録)
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