ピューリサーチセンターは各国の政党事情を探る調査の中で非常に興味深い設問の調査を行っており、これによって日本の政党支持に関する特徴が浮き彫りにされている。

 各国の政治の安定度は、国内の主要な政党への信任度が高いかどうかで決まる側面が大きい。特に、主要な与党だけでなく、主要な野党についての信任・支持も重要である。ある国で信頼度が高い主要与党が政策運営に失敗しても、同じく信頼度が高い主要野党に政権が移行することによって 、政治のガバナンスと安定が同時に達成できると考えられるからである。いわゆる2大政党制というのはこうした望ましい状況を指すものといえよう。

 こうした点を踏まえ、ピューリサーチセンターは、各国の主要与党と主要野党のいずれを支持しているか、またいずれも支持していないのか、それとも両方とも支持しているのかを聞く設問を設けている。

 調査の対象国としては24か国に及んでいるが、図には、そのうち、主要国(G7諸国)の結果を示した。図表の国の順番は「どちらも不支持」の回答率の多い順である。24か国全体の結果グラフはページ末尾に掲げた。

 日本の特徴は、「どちらも不支持」の回答率が54%と過半数を越えて最多である点である。

 日本の主要与党は、自民党であり、主要野党は立憲民主党であるが、それぞれの支持率は15%、10%であり、「両方支持」は10%である。

 ここでの支持率は、主要与党と主要野党の両方を支持するという選択肢がある点からも分かる通り、いずれかの政党を1つ選ぶ通常の政党支持率とはことなる概念である点に注意が必要だ。

 実際、日本で行われている世論調査における通常の政党支持率では、自民党は立憲民主党を上回っているが、ここでの支持率では立憲民主党が自民を上回っている。選挙における投票行動とは異なる結果なのである。

日本とは対極的に、2大政党がいずれも信頼されている米国やドイツ

 日本とは対極的に米国では共和党と民主党という2大政党が、交互に政権を担ってきている。トランプ現象が米国発で世界政治に混乱をもたらしているが、もともとはコロナ禍の時期に続く大インフレへの対応で国民の信任を失った民主党から、通例通り、対立政党である共和党に政権が移行しただけである。共和党の予備選でトランプ候補が選ばれたのが、異常なだけで、民主党から共和党への政権移行自体は、米国における非常にノーマルな政治変化だったのである。

 ピューリサーチセンターのこの調査では、主要与野党の両方を支持している割合が各国で10%前後ある。

 ただし、ドイツは両方支持が31%にも上っている点が目立っている。主要与党の社会民主党、主要野党のキリスト教民主同盟のいずれも何度も政権政党であった長い歴史があり、両方とも信用度が高い反映と考えられる。

 ページ末尾図に示したが、G7諸国以外で「両方支持」が最も多いのは。インドネシアであり50%にも上っている。インドネシアの主要与党はスハルト系の大衆寄り保守政党「ゴルカル」であり、主要野党は大きな政府を目指すスカルノ系の「闘争民主党」であるが、それぞれの支持率は30%、7%、どちらも不支持は11%に過ぎない。両方支持が50%ということは、選挙ではどちらかを勝たせるが、実はどちらでもよいと国民は考えていると言わざるを得ない。

日本の政治状況は不人気政党の虚勢の張り合い

 こうした国と比較すると、日本の政党評価は、少なくとも主要政党については、まるで信頼されていないと言わざるを得ない。米国、ドイツ、インドネシアでは、どちらでもいいけれど、その時の状況に応じてどちらかを選んでいるのであるが、日本の場合は、どちらもそんなに信頼していないのであるが、その時の状況に応じてどちらかを選んでいるに過ぎないのである。

 そう考えると、2026年2月の衆院選も、人気の薄い与党自民党が維新と組んで「右派改革」を打ち出し、他方、やはり人気の薄い野党立憲民主党が公明と組み、「中道改革」を打ち出しているが、直面している日本の課題を解決するための骨太で強い政策的主張は感じられず、むしろ、主要与野党が、いずれも単独では人気を保てないから、とりあえず立場が近い小政党と一緒に虚勢を張ることにしただけのように見える。

 こうした状況なので、この衆院選においても、国民の選択は、ちょっとした何かのきっかけで与野党どちらに転んでもおかしくないと考えられよう。また、既存政党である第1与党、第1野党のいずれもが信頼感が低い状況なので、国民民主党、参政党などそれ以外の新興政党が大いに票を伸ばし、その結果政界再編につながる可能性もないとはいえまい。

主要政党不信:24か国の結果(原資料のまま)

 ピューリサーチセンターの報告書に掲げられたこの設問の24カ国バージョンをページ末尾に掲げた。図は第一与党、第一野党の「どちらも不支持」の回答率の高い順、すなわち主要政党不信の高い順に並べられている。

 G7諸国の中では日本がトップだった主要政党不信は、24か国ベースでは、ギリシャがトップである。

 さらに、日本に次いで、フランス、スペイン、ハンガリー、英国、イタリア、米国の順に上位となっている。欧米先進国は概して主要政党不信が高いことが分かる。

 上では、主要政党不信が低い国として、インドネシアを紹介したが、実はインドは、それ以上にそれが低い。第一与党、第一野党の「どちらも支持」がインドネシアは50%、インドは43%にのぼっている。

 インドは第一与党がインド人民党、第一野党がインド国民会議である(図録5230k)。

 インドネシアだけでなく、フィリピンではマルコス家の国民党、アキノ家の自由党、インド国民会議派のガンジー家(ネルーの娘の姓)などアジアでは名門政治一族が力をもつ傾向がある(図録5230k)。既成政党が歴史的に根強い人気を保っているという経緯がこうした「どちらも支持」が多い背景にあるようだ。

 先進国の中ではドイツと並んでスウェーデン(第一与党は穏健党、第一野党は社会民主党)で「どちらも支持」の比率が高い。


(2026年2月6日収録)


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