1.近年の動向


 2004年に対中国の貿易額(輸出入合計)が対米国を上回ってから、毎年、両者の差は拡大し、2010年には対世界貿易シェアで中国は23.7%となり、米国の12.7%を大きく凌駕している。その後、対中拡大、対米縮小の動きは進まず、両者の差はやや縮まった。

 2008年の対中貿易は実額・構成比ともにやや縮小したが、毒入りギョーザ事件にともなう食料品輸入の停滞も影響していると考えられる(図録0298参照)。

 2008年から2009年にかけて対中、対米ともに貿易額が大きく縮小したが、これはリーマン・ショック後の世界経済の落ち込みの影響である。ただし、対中より対米の方が大きく落ち込んだため、両者の差は広がることとなった。

 2012年以降は対米貿易が回復したので中国の伸び悩みと相まって両者の差は縮まったのである。

 対中、対米の貿易収支(輸出マイナス輸入)の推移については、図録5052参照。

2.貿易相手先として中国と米国が逆転した2004年段階のコメント

 日本と中国の貿易の規模が急速に拡大している。2004年の日中貿易(輸出入合計、香港を含む)は、22.2兆円と米国の20.5兆円をはじめて上回り、中国は、日本にとっての最大の貿易相手国となった。

 日本の対世界貿易における中国と米国のシェアの推移を見ると、米国は1980年代後半には3割近くのシェアをしめていたのが、近年、低下傾向となり、2004年には18.6%とはじめて2割を切っている。これに対して、中国は、1991年までは1割未満のシェアであったが、2001年の中国のWTO加盟を契機として、最近急速にシェアを高め、2004年には20.1%とはじめて2割を越え、「米中逆転」の様相を明確にしている。

 日中貿易拡大の要因としては、日本企業が生産拠点を中国に移し、中国で現地調達できない基幹部品等を日本から輸出、また最終製品のかなりの部分を中国から逆輸入する流れが加速しているのが大きい。

 さらに日中の距離の近さが貿易拡大の大きな要素となっているという指摘もある。「日中間の物流ルートが整備され、「アパレル業界が週末のセールで品切れを起こしそうになっても、高速船で中国から翌週末には製品を届けることができる」(商社幹部)ため、メーカーは余分な在庫を持つ必要がない。」(毎日中学生新聞2005.2.9)

 また、鉄鋼など素材製品について、その比較優位構造から中国への輸出が増えている(図録5300参照)。

 一方、中国側から見ると、対日貿易より対EU、対米貿易の方が伸びている。「中国から見た2004年の対日貿易額は、欧州連合(EU)、米国に抜かれて三位に転落し、中国の貿易相手国としての日本の地位はむしろ低下している」(読売新聞2005.1.27)。

(2005年4月15日収録、2010年4月10日更新、2012年3月11日更新、2014年2月19日更新、2015年1月26・29日更新、2016年3月10日更新、2017年1月30日更新、2018年2月28日更新、2019年2月20日更新、2021年10月18日更新、2022年5月15日更新)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 貿易
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)