かつて、中国産の野菜の残留農薬、また中国製冷凍野菜、冷凍調理食品などへの毒物混入による中毒事件が多発し、食の安全・安心を脅かしたことがある。

 ここでは、中国からの食料品の輸入額推移と品目別輸入額に占める中国産のシェアの推移を財務省の貿易統計から整理したグラフを掲げた。

 中国からの食料品の輸入額は2006年に9,300億円であり、それまでの20年間で4倍に拡大している。中国産食料品の輸入シェアも1990年の6.1%から2006年の16.4%へと2倍以上となっていた。

 我が国の食生活に占める中国産食料品の重要性は大きく拡大してきていたといえる。

 ところが中国製冷凍ギョウザを食べて有機リン(メタミドホス)による中毒を引き起こした「天洋食品事件」が2008年1月末から食の安全を脅かすものとして大きな 社会問題となった。さらに同年10月には中国製冷凍インゲンの農薬汚染による中毒事件も発生した。このため、2008年、2009年と中国からの食品輸入は実額、対世界シェアともに大きく落ち込んだ。その後、実額は回復傾向となり、2015年の輸入額は9,700億円と2006年のピークを上回った。しかし中国以外からの輸入も増えており、対世界シェアはむしろ縮小している。

 2015年にピークを迎えた後、中国の国内需要も多くなったためか、中国からの食料品輸入額は1兆円は越えないまま頭打ち傾向となり、対世界シェアも低下傾向である。

 中国からの輸入食料品の中で金額的に最も多いのは、魚介類(冷凍まぐろなどの冷凍品やエビフライなど調理した冷凍食品を含む。以下同様)であり、野菜がこれに次いでおり、両者を合わせると半分以上である。肉類、果実、穀物類がこれに続いている。

 これら品目の中国産シェア(全世界からの輸入に占める割合)では、野菜が5割程度と最も多い。魚介類と果実がこれに続いている。穀物類は米国やカナダ、肉類はオーストラリアからの輸入が多いため、中国産のシェアは1割以下である。

 なお、2008年の「天洋食品事件」以前を振り返ると、1994年の穀物類の輸入急増は、1993年の冷夏によるコメ凶作による緊急輸入によるものである。また2002〜03年の野菜輸入の減少は、2002年3月に中国産冷凍ほうれんそうから残留農薬が検出された影響である。

 中国における「食の安全」関連年表は図録8204に掲載。

(2008年10月17日収録、2010年4月3日更新、2012年2月23日更新、2014年2月19日更新、2015年12月7日更新、2020年2月28日更新)


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