原データ(xls) | |||||||||||||||||||||||||||
財務省が行っている法人企業統計によって、売上高営業利益率と売上高経常利益率の推移を見てみると、企業の利益率、特に製造業企業の利益率は長期的傾向的に低下してきていることが明瞭である。 製造業の営業利益率は1960年代の7〜8%の水準が1990年代には3%前後にまで低落した。4〜5%ポイントの低落は大きな低落といわざるを得ない。また、景気変動等により毎年の変動が見られるものの長期的には傾向的な、そしてどの時期に大きく低落というのでない継続的な低落が印象的である。 ところが、利益率は、2002年頃から再度上昇傾向にあった。基本的には人員や設備などのリストラの効果があらわれたといえる。合併等による設備の整理、早期退職や労働者の非正規社員の増などが進んでいる。この時期、労働分配率も低下に転じていた。 このように2004年から2007年の利益率の高さは目立っていた。ところが年度後半にリーマンショック後の金融不安と世界的な経済不況に見舞われた2008年には、あたかもこうした長期低下傾向には逆らえないと思い知らされるかの如く、これまで最も低い利益率へと急落した。 2013〜15年にはアベノミクスの効果により、リーマンショック後の落ち込みから回復している。特に、売上高経常利益率は1960年以降の最高レベルにまで達している。 非製造業の利益率の製造業との格差は長期的に狭まっている。2008年にははじめて両者の利益率水準が逆転した。 非製造業の利益率は、回転率が高く売上高比の利益率が低い商業のシェアがだんだん低くなっているため、製造業ほど利益率が低下しないのだと思われる。 営業利益から支払い利息等を除いた経常利益の比率は、企業の借金体質が改まるにつれて営業利益率との差が縮まってきており、その結果、長期的に低落傾向にある営業利益率ほどの低落していない。 以上のような利益率の低下は、基本的には、労働分配率の長期的な上昇に規定されているといえる(図録4610参照)。 (参考)企業収益に係る各種の指標の違い
(2004年10月10日データ更新、2007年10月3日更新、2010年2月26日更新、2013年12月6日更新、2015年10月14日更新、2016年9月5日更新)
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