2005年2月16日には地球温暖化防止のための京都議定書が発効し、世界各国は地球温暖化ガスの本格的な排出削減を迫られた。

 地球温暖化ガスであるCO2の排出量について各国の指標を図録化した。取り上げた指標は、各国の対世界シェアと人口1人当たりの排出量である。

 世界の国の中で排出量が最も多いのは、今や、中国であり、世界の30.2%と約3割を占めている。第2位は少し前まで首位であった米国の13.6%である。第3位はインド、第4位はロシアとなっている。日本は、世界第5位、先進国の中では米国に次ぐ第2位である。

 人口1人当たりの排出量は、先進国の中では、カナダが15.4トンで最も多く、オーストラリア、米国、韓国が、それぞれ、15.3トン、14.7トン、11.8トンで続いている。

 これらの国は、韓国を除くと、人々が自動車で移動する割合が世界の中でも最も高い国として知られる(図録6370、図録6375参照)。オーストラリアについては、傑作映画マッドマックス2の舞台である点が思い出される。その中では、未来の石油資源の枯渇の中で狂ったように移動燃料としてのガソリンを奪い合う人々の姿がリアルに、またシンボリックに描かれていた。

 先進国の中で1人当たりの排出量が最も少ないのは、スウェーデンの3.4トンであり、ポルトガルとスイスがそれぞれ4.3トン、4.4トンでこれに続いている。

 途上国は工場や自動車移動によるエネルギー消費のレベルが高くないので、概して、1人当たりの排出量は少ない。

 もっとも中東産油国の1人当たり排出量は、先進国よりむしろ多く、世界最大の1人当たり排出量の国は、カタールの32.8トンとなっている。この他、バーレーン、クウェートが20トン以上で続いている。

 人口1人当たりのCO2排出量は人口1人当たりのエネルギー消費量と相関している(後者については図録4020)。

 なお、データ更新する前の2000年時点の図はここ(4180a.jpg)。2000年当時と比べると中国のシェアの拡大が目立っている。

 CO2排出量の歴史的推移をたどれば、下図のように、かつては欧米諸国が、最近ではアジア諸国がCO2排出量の拡大を主導していることが明らかである。


 米国の環境シンクタンク、ビュー気候変動研究センターは、先進国、特に米英独仏など古くからの先進国は地球温暖化に対して、現行の責任以上に、産業革命以後これまでの累積の責任が大きいという分析結果を発表した(東京新聞2005年2月13日)。




 参考図に結果を示したが、米国は現在でも20.6%排出に責任があるが、過去の累積では29.5%と3割近くを占めており、責任はより大きい。逆に中国は現在14.8%と米国に次ぐ排出量であるが、累積では7.2%と責任は半分ぐらいである。日本は、第2次世界大戦後経済発展した国なので、現在、及び過去累積の責任がほぼ同等である。累積的な炭素排出量に応じて各国の大きさを変えた世界地図を同時に示した。

 冒頭の図は各国の排出量の絶対量と1人当たりの排出量を別々に表示しているが、末尾の図は1人当たり排出量と人口を合わせて表現し、両者を一気に示した世界銀行作成のグラフである。このグラフを掲載している「気候変動と開発」と題された世銀の世界開発報告2010はこの図を示しながらこう述べている。「過去2世紀にわたり炭素集約的な経済発展によって直接的な利益を享受したのはほとんど今日の高所得国に集中している。過去と現在の排出量の世界的な配分の不均衡、そして現在と将来の損害の配分の不均衡はあからさまである。」

 対象国は60カ国であり、排出量の多い順に掲げると、中国、米国、インド、ロシア、日本、ドイツ、イラン、カナダ、韓国、南アフリカ、英国、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、イタリア、オーストラリア、ブラジル、フランス、ポーランド、スペイン、トルコ、ウクライナ、タイ、エジプト、マレーシア、ベネズエラ、アルゼンチン、オランダ、パキスタン、UAE、ベトナム、アルジェリア、チェコ、ベルギー、ギリシャ、クウェート、カタール、ナイジェリア、フィリピン、イスラエル、リビア、オーストリア、ポルトガル、フィンランド、バングラデシュ、アゼルバイジャン、トリニダードトバゴ、ペルー、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、アイルランド、スイス、オマーン、香港、ニュージーランド、シンガポール、キューバ、バーレーン、ヨルダンである。

(2005年2月18日収録、2008年4月17日更新、9月17日世界地図追加、2011年1月11日末尾の図追加、2013年9月16日更新、2023年6月1日更新、12月19日世界のCO2排出量の図)



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