国単位のエネルギー効率はエネルギー消費1単位当たりのGDPであらわすことができる。GDPは毎年生産している財・サービスの総量を示しているので、エネルギー1単位でどれだけの財・サービスを生み出せているかをエネルギー効率と考えることが出来るからである。

 ここでは世界銀行の表示法に則して、エネルギー消費を1次エネルギー供給量(エネルギー物資の生産+輸入−輸出+在庫減)の石油換算値で表し、GDPを購買力平価ベース(為替レートではなく実際に購買できる財・サービスの量による比較)の実質GDPで表して、後者を前者で割った値で各国のエネルギー効率を測り、その推移をグラフにしている。

 日本のエネルギー効率は、11.03(ドル/石油1s)であり、対象28カ国(2013年段階のOECD高所得国プラスBRICs)のうち、12位であるが、フランス、米国、中国、カナダ、ロシアといった主要国と比較すると、エネルギー効率が高いことで目立っている。

 アイスランドのエネルギー効率が非常に低いのは地熱エネルギーがふんだんに得られるからであろう(図録4052、図録4130参照)。

 エネルギー効率の推移であるが、日本は1980年代までは改善が進んでいたが、1990年代の長引く不況の中でエネルギー効率は停滞気味であった。しかし21世紀に入るとまた上昇している。。

 全体として見ると世界各国でそれなりに改善が進んでいることがうかがえる。

 水準は低いところから出発していたにしても中国も大いにエネルギー効率の改善が見られていたが、問題は2002年〜04年の動きである。経済成長率(GDPの伸び率)以上にエネルギー消費が拡大しているため、エネルギー効率はむしろ低下していた(図録4020参照)。これが石油価格の上昇などに結びつく世界的なエネルギーの逼迫状況を加速していたといえよう。

 中国のエネルギー効率の低下については、理由として、金属、化学といったエネルギー多消費産業のエネルギー消費量が多く、またこうした産業のシェアが高い点、また政府の指導価格によってエネルギー価格が抑えられている点が指摘される(経済産業省「平成19年版通商白書)。中国当局もこうした動きに危機感を強めている。特に電力不足、石油輸入の拡大、モータリゼーションによる需要拡大といった将来も見込んだリスクに対応しなければならない点が重要である。このため、2006年3月に採択された第11次5カ年計画においては、2010年までに2005年の単位GDP当たりのエネルギー消費量の20%削減目標を「拘束性」目標(必達目標)として設定している(同上)。このかいもあってか、2000年代後半以降はエネルギー効率が再度上昇している。

 対象となった諸国は28カ国であり、2011年(または10年)のエネルギー効率の良い順に並べると、アイルランド、スイス、英国、デンマーク、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、オーストリア、ドイツ、日本、ルクセンブルク、オランダ、フランス、ノルウェー、ブラジル、スウェーデン、オーストラリア、ベルギー、ニュージーランド、米国、インド、韓国、フィンランド、カナダ、中国、ロシア、アイスランドである。

(2007年8月16日収録、2010年8月3日更新、2013年9月13日更新、2017年5月15日更新)


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