堀井氏は1999年に山手線で吊革につかまってままミステリー「亡国のイージス」を呼んでいて手首が痛くなり、ミステリー本が重たくなったのではという仮説をたて、それを確かめるため、国会図書館でミステリーベスト10の書籍をかたっぱしから量ってみたというのである。その結果が、図にあらわした通りである。 この図録の原資料である堀井憲一郎(2006)「若者殺しの時代」によれば、ミステリー本が重くなったのは、原稿が手書きからワープロ入力に変化したからだという。「手書きなら削っていたようなディテールまで細かく書かれるようになった。...文章が肉体を通さずに書けるようになった。」1990年あたりがターニングポイントであるという。堀井氏はふれていないが、原稿代が枚数単位なら、ワープロが枚数増加促進となることは想像に難くない。 ところで、平均重量以上に平均値段が高くなっている。重量は2倍になっていないが、値段は2倍になっている。グラム単価は2.4円から3.7円まで上昇している。牛肉より安かった単価が牛肉を上回る迄になった(図録0410参照)。同じ重量の生産により多くの手間がかかるようになったのでないとしたら、販売部数が減って、収支償うためには、単価上昇が余儀なくされているのであろう。 (原データ) ミステリー書籍平均重量(週間文春ミステリーベスト10国内部門)
(2006年5月23日収録)
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