米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(29)が2024年4月21日(日本時間22日)、ロサンゼルスの本拠地ドジャースタジアムで行われたメッツ戦に「2番・指名打者」で出場し、3回の打席で8戦38打席ぶりとなる5号先制2ランを放った。これがメジャー通算176号となる本塁打となり、松井秀喜氏(ヤンキースなど)を抜いて日本選手として歴代最多となった。記録サイトのベースボール・リファレンスによると、松井氏は1,236試合に出場して5,066打席で175本だったのに対し、大谷は打者として725試合目、2,979打席目で176本に到達した(デーリースポーツ・読売新聞2024.4.22)。


 なお日本選手の本塁打記録第3〜5位は、それぞれ、イチローの117本、城島健司の48本、井口資仁の44本である。またアジア人記録は秋信守(チュ・シンス)の218本塁打である(MLB.jp同日)。

 さきにイチロー選手の10年連続200本を記録した安打数の推移を掲げた(図録3978a)。

 しかし、大谷翔平選手の魅力は何といってもホームランをはじめとする長打であろう。そこで、スポーツナビによる大谷選手の長打本数の年度別推移をグラフにした。2024年は最近までの途中結果である。

 大谷翔平選手は日本ハム時代の2倍以上のホームランをメジャーで放っている。2023年にはMLBの本塁打王に輝いた。

 さらに二塁打、三塁打の長打も本塁打の本数並みに打ち続けている。

 2013〜2019年の間は2015年を除くと二塁打、三塁打の本数が本塁打の本数より多かった。2020年以降は基本的に本塁打の本数の方が二塁打、三塁打を上回るようになった(2022年はやや例外だったが)。

 2024年は、本人もシーズン当初はいろいろあって睡眠が足りなかったと言っていることからうかがえるように(東京新聞2024.5.16)、水原通訳の違法賭博問題の影響で二塁打、三塁打と比較して本塁打が出ていなかったようである。

 打撃好調を示す指標に安打数を打数で割った打率がある。これに長打の多さを加味した指標として長打率がある。二塁打なら2本、ホームランなら4本安打を打ったとものとして計算される打率である。大谷選手の長打率の推移を図に加えた。なお、長打率から打率を差し引いて二塁打以上の長打の多さのみをあらわす指標に長打率とは別にIsoPが計算されている。

 なお、長打率の個人通算記録のトップとしては日本のプロ野球では王貞治選手の.634、大リーグではベーブ・ルースの.690が知られている。

【コラム】巨人ファンから大谷ファンへの時代の変遷

 国民的人気の対象が読売巨人軍を代表とするプロ野球球団から、大谷翔平選手で頂点に達した感のある日本人大リーガーというスポーツ選手個人にシフトした点が多くの人の関心を引いている。こうした点をコメントしたナンバーWEBの記事(2024.5.14、「Number Ex」内野宗治執筆)を以下に引用する。

「テレビをはじめとするマスメディアで露出する機会が減った日本のプロ野球が「マイナースポーツ化」、あるいは「一部のオタク向けコンテンツ」と化していった一方で、プロ野球に代わる新しいマスコンテンツとなったのがMLBで活躍する日本人選手たちだ。野茂英雄、イチロー、松井秀喜、松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大(まさひろ)、そして大谷……彼らが出場する試合は日本時間で深夜だろうと早朝だろうと生中継され、その活躍に多くの日本人が釘付けになった。

 世界各国でスポーツファンの市場調査などを手がけるニールセン・スポーツが2023年12月に発表したレポートによると、日本では今や「エンゼルスファン」の数が「読売ジャイアンツファン」の数を上回っている。ここでの「エンゼルスファン」とはもちろん「大谷が所属するチームのファン」という意味なので、2024年からは「ドジャースファン」が激増することになる。今やひとりの日本人選手が所属するMLBのチームが、かつて国民的人気を誇った読売ジャイアンツの人気をしのいでいるのだ。

 かつて栄華を誇った巨人軍の天下もはるか昔、時代のスポットライトは異国の地で活躍するたった一人のスター選手のもとへ……。

 今や大相撲以上に日本の「国技」とも言える、野球というスポーツにおけるこの劇的な変化は日本社会の変化を反映している。仮に読売ジャイアンツを「昭和の大企業」としたら、大谷は「シリコンバレーの起業家」のような存在だ。20世紀後半の高度経済成長期からバブル期にかけて、日本経済を牽引した大企業の多くは今やすっかり零落し、代わりに起業家やアーティストなど才能ある個人が世界を舞台に活躍するようになった。日本から世界へ、そして組織から個人へと時代が移り変わった。昭和の「古き良き時代」を象徴する、日本の“ローカル球団”読売ジャイアンツよりも、平成生まれの世界的スター大谷に僕らが魅了されるのは当然だ。

 2023年12月に大谷がドジャースと結んだ契約は、1年あたりの年俸が7000万ドル(約101億5000万円、当時のレート)という破格の契約だった。一方、かつて日本球界を代表する「金満球団」だった読売ジャイアンツの、2023年における選手年俸総額は約37億円。ジャイアンツの選手全員の年俸を足しても、大谷が1年で稼ぐ額の半分にも及ばない。カネがないよりも、あるほうに人々の目が向くのも、これまた自然なことだ」。

(2024年4月14日収録、4月16日長打率付加、4月22日大リーグ日本選手最多通算本塁打記録、4月23日同グラフ、5月14日コラム)


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