通常は官庁等から委託されて意識調査を行っている中央調査社が自主的に行っている「人気スポーツ」調査では、好きなプロ野球チームを調べている(同じ調査による好きなスポーツ選手については図録
3976g参照)。この調査の結果から2006年以降の推移と最新年次の地域別の上位3位を図録化した。
かなり以前の1983年と2007年にはNHKの放送文化研究所が「日本人の好きなもの」調査の中で「好きなプロ野球チーム」(こちらは1つだけの回答である中央調査社調査と異なり複数回答結果)についても調べているので最近との比較の意味で同時に掲げておいた。
結果については、中央調査社の調査結果報告書でこう述べられている。
(2024年結果)
- 1993年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 「日本ハム」が3位、「中日」が4位、「ソフトバンク」が5位、「広島」が6位となった。
- 地区別では、“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、例年どおり、各々の地元において1位となっている。
(2023年結果)
- 1993 年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 「ソフトバンク」が2年ぶりとなる3位。
- 「日本ハム」が4位、「中日」が5位、「広島」が6位となった。
- 地区別では、“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、例年どおり、各々の地元において1位となっている。
- (私見)WBCでの活躍選手に巨人選手が目立たなかったせいもあり、「巨人」の割合ははじめて2割を切り、調査開始以来最低となっている。この点に中央調査社の調査結果報告書がふれていないのは少しヘン。
(2022年結果)
- 1993年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 「新庄剛志」を監督に迎えた「日本ハム」が6年ぶりとなる3位。
- 地区別では、“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、例年どおり、各々の地元において1位と
なっている。
(2021年結果)
- 1993 年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 「どれもない」が過去最高値であり、コロナによる観戦制約が影響していると思われる。
(2020年結果)
- 1993年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 3年連続日本シリーズ優勝の「ソフトバンク」が昨年からひとつ順位を上げて3位。
- 昨年セ・リーグ4位だった「広島」が「ソフトバンク」と入れ替わりで4位。
- 地区別では、“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、
“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、例年どおり、各々の地元において1位と
なっている。
(2019年結果)
- 1993 年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- セ・リーグ3連覇を果たした「広島」が3位。昨年3位だった「中日」は5位。
- パ・リーグからは、2年連続日本シリーズ優勝の「ソフトバンク」が4位に入り、「日本ハム」が6位で続いている。
- 地区別では、“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、例年どおり、各々の地元において1位となっている。東北でも、「巨人」と同率ながら、「楽天」が1位タイである。
(2018年結果)
- 1993 年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。
- 「中日」は、昨年より2ポイント増加して、2010 年以来の3位。4位は「広島」。
- パ・リーグからは、昨年日本一に輝いた「ソフトバンク」が5位、「日本ハム」が6位となっている。
- 地区別にみると“北海道”の「日本ハム」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、地元において1位になっており、地域とのつながりが反映されている。
(2017年結果)
- 1993年の調査開始以来1位「巨人」、2位「阪神」は不動。「巨人」の人気は昨年と比べて4ポイントの増加となっている。
- 昨年セ・リーグ優勝を果たし、今シーズンも現在ペナントレース首位の「広島」が、昨年より2ポイント増加して初の3位となった。
- パ・リーグからは、昨年日本一に輝いた「日本ハム」が4位、「ソフトバンク」が5位となっている。
- 地区別にみると“北海道”の「日本ハム」、“東北”の「楽天」、“東海”の「中日」、“近畿・阪神”の「阪神」、“中国”の「広島」、“九州”の「ソフトバンク」が、地元において1位になっており、地域とのつながりが反映されている。
NHK調査とも対比させて長期的な推移を追ってみると、1983年には50.6%と半数を超える日本人が巨人を好きと回答しており、2位の西武の21.7%を大きく凌駕していた。高度成長期以来の圧倒的な巨人人気がしのばれる。
その後、2007年には巨人への回答率は26.7%と大きく落ち込んだ。これは他球団との人気の差が縮まったせいもあるが、好きなチームが「どれもない」という回答が増えたせいでもある。なお、1983年から2007年の間に、バブル経済の崩壊と平行して、第2位人気の西武が大きく凋落し、現在まで巨人に次ぐ人気を保っている阪神が2位に浮上している点も見逃せない。
2006年以降の推移としては、1位の巨人、2位の阪神は不変であるものの、両チームとも回答率は低下傾向にある。言い換えれば、3位以下の各球団への人気の分散が起こっているように見える。これは、サッカーにならってプロ野球でも地域とのつながりを重視している結果であろう。
2006年以降の3位チームは確定的ではなかったが、2017年以降はセリーグ三連覇の広島が連続して3位を維持している。
以前の圧倒的な巨人人気からの脱却については図録
3978参照。
なお、「どれもない」も若干ながら増加傾向にあり、野球人気自体の長期低落が反映している(図録
3976c参照)。