今ではコミック誌などを除いて、週刊誌を読む年代は高齢化しており、新聞とともに紙の媒体がネット情報に押されて衰退しつつある状況の一側面をあらわしていると捉えられている。

 しかし、週刊誌を読む読者層が高齢化したのは最近のことなのだろうか。この点をはっきりさせられるようなデータを紹介しよう。

 代表的な週刊誌について、1983年には好きな週刊誌は何というNHKの調査があり、2019年には読んでいる週刊誌は何という毎日新聞の調査があり、いずれも男女・年齢別の集計がなされている。設問内容は異なるが、ほぼ読者層をあらわしていると考え、比較してみた。

 すると週刊誌により、この40年間の推移については3パターンあることが分かる。
@ 以前から中高年の読者が多かった週刊誌
週刊朝日、週刊文春
A 固定読者が高齢化して行った雑誌
週刊現代、週刊ポスト(かつての男性サラリーマン向け週刊誌)
B それ以外の変化
女性自身はもともとは中年女性向けだったが、読者層の高齢化と若年女性離れにより、高齢者向け雑誌に変身。an-anは圧倒的に若い女性向けだったのがミドル向けにシフト
 週刊朝日は1922年に創刊され、サンデー毎日と並び日本で最も歴史の長い総合週刊誌だったが、創刊101年後の2023年をもって休刊した。最盛期には153万9500部の発行部数を記録し、これはコミック誌を除く週刊誌の日本最高記録だという。図の読者層の変遷からも各年齢層にわたる落ち込みが週刊誌の中でも大きく、休刊も余儀なかったことがうかがわれる(図録3969h参照)。

 以前の週刊誌の読者層について、1983年データの報告書は「金曜日の朝」と題して次のようにコメントしている。

「週刊誌を読む代表的な場所といえば、女性なら美容院−−女性自身が第1位の座にあるのもこの美容院の力が大きいかもしれない−−そして、男性なら通勤電車の中などであろう−−若いサラリーマンが週刊ポスト(男性30代で1位)のヌード・グラビアを見つめている隣の席で、課長風のオジさんが週刊現代(男40代でトップ)の”全サラリーマンよ怒れ!しわよせ大増税と値上げ攻勢のカラクリを暴く”なんていう記事をパラパラやっていて、その前の席では、週刊朝日(男50代以上で1位)の”街道を行く”を初老の紳士が読みふけり、その頭の上の網棚には少年ジャンプ(男の10,20代でトップ)がむなしく読み捨てられている、などという光景はよくお目にかかるところである」(p.92〜93)。

 こうした光景はネットとスマホの普及によって一掃され、現代では、押しなべて皆、スマホに見入る通勤電車の情景に取って代わられている。美容院ではタブレットがおいてあり、どんな雑誌でもネットで読めるようにしているところが多いという。

(2024年6月30日収録)


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