デジタル読解力は、あくまで文章の理解力などを図るのが目的であるが、コンピュータ上でウェブサイトをクリック選択してその内容が理科の宿題に利用できるか答えたり、ボランティアの仕事を探している16歳の女性のブログを読んで、この女性に適切な募集情報をメールで知らせたりすることによって、デジタル技能の高さを測っている(東京新聞2011.6.29)。 つまり、デジタル読解力は、一般的な読解力にデジタル技能が合わさった能力ということになる。 図には、すでに発表されている筆記型のプリント読解力の平均得点と今回のデジタル読解力の相関図を掲げた。当然両者は高い相関を示している(両方ともOECDの平均が500点になるように問題が作成されているというが、国によるレンジはデジタル読解力が250点、プリント読解力が150点となっておりデジタル読解力の方が差がつきやすくなっているようである)。プリント読解力については図録3940参照。 しかし、回帰直線の上に位置するか下に位置するかを見れば、韓国やオーストラリアはプリント読解力以上にデジタル読解力が高く、日本や香港はプリント読解力ほどはデジタル読解力が高くないことも分かる。 PISA調査による読解力平均得点
(資料)OECD, PISA 2009 Results: Volume VI Students On Line - Figure VI.2.21 上にデジタル読解力とプリント読解力の平均得点の差を含めた各国のデータを示した。デジタル読解力がプリント読解力を上回る程度についてのランキングでは日本は9位と低いことが分かる。
なお、OECD東京センターのHPに掲載されたサマリーは次のように言っている。「学校でのコンピュータ使用が成績にほとんど影響を与えないのに対し、自宅での使用は成績により明確な影響を及ぼします。学校にいる生徒を支援するため、コンピュータの使用をカリキュラムに組み入れるとともに、教師が授業でコンピュータを使用し生徒の学習を手助けできるよう教師の訓練への投資を増やすべきであると報告書は指摘しています。」 確かに、同時に実施された生徒のコンピューター利用に関する調査では、日本の生徒の家庭でのインターネット利用率は家庭で45カ国中36位と低くなっている(図録3942d参照。学校での利用率も39位とさらに低い)。 (2011年7月7日収録)
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