毎日新聞社が毎年行っていた読書世論調査では、20世紀の最後(1999年)、また平成の最後(2020年)に、それぞれの時代を振り返って「心に残った作家」は誰だったかを調べている。ここでは、それぞれ上位10人の作家を回答の多い順に掲げた。

 資料は毎日新聞発刊の「読書世論調査2020年版」。NHKが2007年に調べた「好きな作家」は図録3925参照。

 平成のランキングでは以下の点が目立っている。
  • 全員男性作家だった20世紀のランキングとは異なり、女性作家が3人含まれている。
  • 1999年のランキングは名の通った定番作家が多いのに対して、2020年の回答では映画やドラマで「映像化されていて、よく見聞きをする名前」が多くなっている(東野圭吾の話)。
  • 上位10人は全員が戦後生まれで、最年少は6位の又吉直樹39歳、最年長は村上春樹70歳(2019年9月現在)。
 男女別のベスト4は以下である。

(20世紀)
男性:司馬遼太郎、松本清張、夏目漱石、吉川英治
女性:松本清張、赤川次郎、司馬遼太郎、夏目漱石

(平成)
男性:東野圭吾、池井戸潤、村上春樹、又吉直樹
女性:東野圭吾、村上春樹、湊かなえ、宮部みゆき

 20世紀については、全体で10位の吉川英治が男性のみだと4位に入る点、女性は松本清張や赤川次郎がトップ2となる点が目立っている。

 平成については、男性の4位に2人の女性作家を抜いて又吉直樹が入る点、女性は湊かなえ、宮部みゆきという女性作家が3〜4位にあがる点が目立っている。

 平成の結果について、女性回答だけのベスト10では林真理子が7位に入る。また、男女別の上位30位までのランキングを調べると男性の回答では男性作家23人、女性作家7人であるのに対して、女性の回答の場合、男女の作家各15人と半々である。女性作家はやはり女性読者に好まれていることがうかがわれる。

 なお、私の心に残っている作家は、1人挙げよと言われれば、20世紀では正宗白鳥、平成では町田康だが、ランキングにはかすりもしないようだ。

 取り上げている作家をグラフの順に掲げると、司馬遼太郎、松本清張、夏目漱石、赤川次郎、川端康成、五木寛之、遠藤周作、芥川龍之介、三島由紀夫、吉川英治、東野圭吾、村上春樹、池井戸潤、湊かなえ、宮部みゆき、又吉直樹、伊坂幸太郎、百田尚樹、浅田次郎、有川ひろ(浩)である。

(2023年2月1日収録)


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