この調査の結果から、学校の先生の教師としての満足度や先生になったことを後悔しているかについて日本の先生の特徴を見てみよう。 図にはX軸に「教師の仕事に満足している割合」、Y軸に「教員になったことを後悔している割合」を取った散布図を示した。相関を確かめるために描かれる散布図は相関図だと定義できるから、満足度が高ければ後悔している先生も少なくなるだろうという見込みで作成していることから言えば、この図は相関図とも呼べる。 まず、どの国でも先生は教師の仕事に満足している割合が高いことが印象的である。ほとんどの国で満足度は85%以上なのである。その中で日本の先生は、満足度が85.1%とイングランドの81.8%に次いで低い点が目立っている。 また、満足度と後悔はおおまかに反比例している(相関度の低いマイナスの相関である)ことも図から見て取ることができる。 それでは満足度の低い日本では教員になったことを後悔している教師が多いのかというとそうでもない。後悔している教師は7.0%であり対象34か国中下から11位と低いのである。 これら2指標を含む教師の仕事満足度に関する10設問の結果の順位を掲げると下表の通りである。 日本の場合、全体としての満足度のほか、天職意識や仕事の楽しみ、良い職場の意識、仕事成果への満足度などは最下位か下から2位の低いレベルとなっている。それに対して、職業選択や後悔、あるいは社会的評価に関しては高いレベルにある。仕事の内容には大きな不満があるが、それを打ち消すだけの職業の安定性や待遇が得られていると考える教師が多いのではないかと思われる。 日本との対比で興味深いのが参考に掲げた韓国の順位である。日本よりも特に儒教の影響が強い韓国では教師の社会的評価は第3位と非常に高いのであるが(ちなみに1〜2位はマレーシア、シンガポール)、満足度に関しては日本と同様に非常に低いレベルにある。一方、日本では比較的高い職業選択や後悔に関しても韓国の場合はレベルが低い。後悔について日本と大きく異なることは図においても明らかである。おそらく韓国では仕事内容に不満が多いだけでなく、社会的に尊敬されている割に処遇や待遇は十分でないという意識が強いのではないかと想像される。
当図録で取り上げた34カ国・地域は、オーストラリア、ブラジル、ブルガリア、チリ、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、アイスランド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ラトビア、マレーシア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、シンガポール、スロバキア、スペイン、スウェーデン、アブダビ(UAE)、アルバータ(カナダ)、イングランド(英国)、フランドル(ベルギー)、米国である。 (2016年6月14日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|