「年齢差別(age discrimination)」または「エイジズム(ageism)」とは、年齢を理由とした偏見や差別、不当な扱いを指し、採用、賃金、解雇、昇進、業務、トレーニング、待遇、福利厚生など、雇用のあらゆる場面で起こりうるものである。

 若年層と高齢者の両方が対象になることがありますが、特に高齢者が不利益を被ることが多い。ここでは、高齢者が年齢差別を受けているかを国際的に調査した結果を掲げた。

 日本で年齢差別を受けているのは28%であり、ドイツの25%に次いで低くなっている。

 対象12カ国は、日本と韓国を除くと欧米諸国であるが、平均以上に年齢差別が多いのは、オーストラリアを除くと南欧諸国、及び南米のカトリック諸国であり、平均より年齢差別が少ないのはプロテスタント諸国という特徴が見て取れる。

 カトリックとプロテスタントと言えば、前者がかたち(外形)を重視し、後者がこころ(内容)を重視していると考えられるが、年齢もかたち(外形)の一種なのでこうした結果となっているとも捉えられるかも知れない。

 自国の政治システムはなかなか変えられないと回答している国は(図録9622予定)、ここでの中高年への年齢差別の国と重なっている。やはりかたちを変えられないと言うのが共通する点なのかもしれない。

 日本と韓国は欧米諸国とは文化的な背景を異にしているが、韓国はもっとも年齢差別が大きく、日本は小さいと対照的な結果となっている。韓国がかたちを重視するのに対し、日本はそれほどこだわらないからかもしれない。日本では高齢化が進み、労働力不足が一般的なので高齢者を差別する余裕はないという側面が影響を及ぼしている可能性もあろう。

 対象国は、図の順にドイツ、日本、カナダ、英国、フィンランド、米国、スペイン、オーストラリア、フランス、イタリア、ブラジル、韓国である。

(2025年10月2日収録)


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