パリに本社を構える世界的なマーケティング・リサーチ会社であるイプソス(Ipsos)社は、2024年7〜8月開催のパリオリンピックに先立って、世界32カ国の国民がどのようなオリンピック競技に対して関心が高いかについての意識調査を行っている(結果を掲載しているイプソスのサイト)。

 なお、同調査でオリンピックイベントと読んでいる五輪競技の選択肢は22種目であり、ブレイクダンスといった新しい種目が入っている反面、伝統的な主要競技のレスリングが抜けている。

 図録には各国で関心の高い競技のトップ8について、サッカーは黄色になど競技ごとに色分けした順位表であらわした。

 各国の特徴についてふれるまえに、取り上げられている競技種目を知るためにも、日本の結果を世界各国平均と比較した図を下に掲げた。


 日本のトップ5は、

 陸上競技、水泳、バレーボール、体操/柔道

であるが世界のトップ5は

 サッカー、陸上競技、体操、水泳、バレーボール

となっており、陸上競技、水泳、バレーボールなど世界と関心が重なる競技も多いが、一方で、サッカーへの関心が世界は28%で首位であるのに日本は7%、8位と低い点、および、世界では4%、18位と関心度のそう高くない柔道が日本では14%、4位と高い点が大きく異なっている。

 日本の陸上競技への関心が世界並みに高いのは日本で人気の高いマラソンが陸上競技に含まれているからという側面が大きいと考えられる(図録3610参照)。

 世界の関心が日本の関心を上回るサッカーに似た競技としてはバスケットボール、テニス、自転車、ボクシングなどがあり、逆に日本の関心が上回る柔道に似た競技としては卓球があげられる。

 冒頭の図録には各国で関心の高いオリンピック競技トップ8を表形式で示した。回答率が同率で同順の場合は各国平均の順位にそって順位づけした。

 各国平均で1位のサッカー、2位の陸上競技、3位の体操、4位の水泳の主要4競技いずれかがトップとなっている国が多い。

 ヨーロッパは陸上競技が首位となる国が多い。これは、そもそも古代のヨーロッパで発祥したオリンピックが陸上競技からはじまったことに由来していよう(注)。日本やニュージーランドも陸上競技が首位である。

(注)オリンピック競技はもともと紀元前776年に第1回古代オリンピックがギリシャで開催されたことに由来する。この時、公式な競技として陸上競技が行なわれ、この大会での陸上競技は、スタディオン走と呼ばれる短距離走のみだったという。スタディオン走とは、スタディオン(スタジアム)を語源とする競技で、スタート地点から祭壇まで誰が一番早くゴールできるか、というシンプルなものだったと伝えられている(ウィキペディア)。

 日本で陸上競技に関心が高いのは、上記の通り、マラソンが陸上競技に含まれているからという側面が大きいと言えよう。

 サッカーが首位であるのは、南米諸国を中心にヨーロッパの一部(ドイツ、スペイン)や南アフリカ、インドである。

 ルーマニア、米国、メキシコは体操が首位である。

 ハンガリー、カナダ、オーストラリアは水泳が首位である。

 主要4競技以外がトップとなっている点で目立っているのは以下である。
・バレーボール
ポーランド、ブラジル、タイ、トルコ
・バドミントン
インドネシア、マレーシア、シンガポール
・卓球
中国
・バスケットボール
フィリピン
・アーチェリー
韓国
 このほか、以下のような特徴も見て取れる。
  • テニス、自転車はアジアより欧米で関心が高い
  • 陸上競技は日本を除くとアジアでは余り人気が高くない
  • 卓球、バドミントンは欧米よりアジアで関心が高い
  • 柔道がトップ8に入っているのは、フランス、韓国、日本だけ

(2024年8月4日収録)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 労働
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)