スキル3区分別の変化幅を見ると、多くの国で、高スキル(管理職と専門・技術職)と低スキル(サービス・販売職と単純労働者)が増加し、中スキル(事務職、技能職、農林水産職)が減少するという一般傾向が認められる。 OECD23か国、およびOECD以外12か国のデータを中スキルの減少幅の大きい順に図示した。全体を通して、中スキル労働者の割合が減っていないのは、ペルーとアルゼンチンの2か国だけであり、その他の国では、すべて中スキル労働者が減っており、しかも、減少幅が大きい国も多い。 中スキル労働者の割合が10%ポイント以上減少している国は、OECDでは、オーストリア、スイス、アイルランド、スペイン、ギリシャ、など11か国に及び、OECD以外ではコスタリカ、メキシコ、トルコの3か国である。これらの国は労働環境の変化が激しい国といえよう。しかも、移民労働者が低スキルお労働市場の多くを占めている場合は、中スキルから高スキルにシフトできなかった労働者はかなり厳しい状況の置かれているといえよう。 中スキルが減り、低スキルと高スキルが増えるという二極化の傾向にあるとはいっても、低スキルと高スキルのどちらへのシフトしているかは国によって異なる。 結構多くの国で二極化というより高スキルへのシフトが中心となっている中で、低スキルの拡大が目立つのは、OECDではギリシャぐらいであるが、OECD以外では、コスタリカ、トルコ、トルコ、南アフリカ、中国など多くの国の特徴となっている。 OECD以外ではインドとロシアで高スキルへのシフトが目立っている。 こうした世界の動きの中で、日本は、@二極化の動きが他国より緩やかである点、及び、A低スキルと高スキルの両方へのシフトが目立っている点が特徴である。低スキルが高スキルと同じぐらい増えているのは、単純労働が増えているというより、世界一の高齢化に伴い、多くがサービス職に分類される介護職が急増しているためであろう(図録3500参照)。 取り上げた35か国は、図の順に、オーストリア、スイス、アイルランド、スペイン、ギリシャ、デンマーク、フランス、スウェーデン、ポルトガル、英国、ノルウェー、オランダ、フィンランド、イタリア、ドイツ、ベルギー、米国、スロベニア、カナダ、スロバキア、日本、ハンガリー、チェコ、コスタリカ、メキシコ、トルコ、ブラジル、南アフリカ、中国、インド、ロシア、チリ、インドネシア、ペルー、アルゼンチンである。 (2019年6月18日収録)
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