最新(2012年)の結果では、60歳以上の高齢者を除く男女各年齢層で半分以上の労働者が強いストレスを感じている。男女別では2007年までは男のストレスの方が多かったが2012年には女が男を上回った。年齢別には男では40代、女では30代でストレスを感じている労働者が最も多い。 就業形態別に見ると、派遣労働者、正社員、契約社員、パートタイム労働者の順にストレスが小さくなっている。後段でもふれるが、正社員と比べ、派遣労働者、契約社員、パートタイム労働者は、雇用の安定の側面ではストレスが大きいが、労働時間や労働量の面でのストレスは相対的に小さくなっている。 1997年から5年おきの状況を見ると、経済状況の回復にともなって、強いストレスを感じている労働者の比率は、若干ながら、低下傾向にあったが、2012年には再度やや上昇した。2008年後半から米国発の世界金融危機に端を発する経済不況が雇用情勢を悪化させたが、ストレスに関してはこの程度だったと考えられる。なお、1992年の調査結果は57.3%だったので1997年にかけて大きく上昇したことが分かる。この上昇にはバブル崩壊後のリストラの影響もあるだろう。 男女年齢別の動きとしては、男性は60代を除いてストレスが低下する傾向にあるが、女性は、いずれの年齢層でも2012年に1997年以降最大の値となっている。60代以上については、女性は2007年以降、男性は2012年にストレスを感じている者が増えている。女性や高齢者にも仕事の負担がかなりかかるようになったためと思われる。 企業の職場のストレスが非常に高まっているといわれるが、全体的には、すでに1997年段階で高まっていた状況が、より悪化しているわけではないことを示すデータである。長時間労働者の比率が増えている(図録3125)のとはやや整合的でない結果である(反面、短時間労働者も増えているのと相殺されている可能性もある−図録3276参照)。もっとも長時間労働の多い30代〜40代のストレスが多い点は整合的である。 次に、職場のストレスの内容を上図で確認しておこう。ストレスの内容としては、「職場の人間関係」、「仕事の質」(仕事の内容)、「仕事の量」(労働時間)が3大ストレスといってよい。もっとも労働者の属性により重点は異なっている。
男女別ではなんといっても、女で「職場の人間関係」がストレスがあると回答した人の48.6%と半分近くがあげている点が目立っている。女性の多い「パートタイム労働者」でも64.1%と2位の「仕事の質」を大きく上回っている。女性の場合、上司や同僚との関係で悩みやトラブルが多いことを示している。 さらに、正社員と比べて契約社員や派遣労働者は「雇用の安定」や「定年後・老後」でのストレスが大きく、仕事の量や質は正社員ほどストレスとなっていないことが分かる。リストラで非正規雇用が増える中、非正規労働者が雇用が安定していないことにストレスを感じている一方で、正社員は労働時間や仕事内容で悩みを深めている様子がうかがえる。 下に「仕事の量」で悩みやストレスを感じている労働者割合の推移を雇用形態別に示した。非正社員の仕事量に関するストレスは低下傾向にある一方で、正社員の仕事量のストレスは減っていないことが分かる。 (2008年12月8日収録、2012年10月22日男女別・就業形態別数値とストレスの内容グラフ掲載・コメント追加、2014年4月9日更新、仕事量ストレス推移図追加)
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