「就職氷河期」と呼ばれるバブル崩壊後の「失われた10年」と重なる時期には「第一志望」の会社に就職できた新入社員は5〜6割、特に2000年には50.5%と最低の水準を記録している。 (注)「就職氷河期」は1994年の新語・流行語大賞特別賞を受賞 その後、2000年代の後半から改善の方向に向かい、近年は4人に1人は「第一志望」の会社に入れている。直近の2018年は、ついに、80.6%と8割を越えているのが印象的である。 厚労省と文科省が調査している就職内定率・就職率の推移でも就職戦線の厳しさの程度をはかることができる。ここでは、参考指標として「大卒の就職率」の推移を図中に同時に掲げておいた(図録3160参照)。 リーマンショック後の2010年〜11年には就職率が2000年前後の時期と同じぐらい落ち込んでおり、「新就職氷河期」とも言われた。 この時期、「第一志望」割合も若干落ち込んだが、2000年前後の時期と比較すると、ずっと落ち込みは軽微であった。 「就職氷河期」には、第一志望の会社に入れなくともともかく就職したのに、「新就職氷河期」には、第一志望の会社に入れなければ就職しないというように就職活動の形態が変化したといえよう。「新就職氷河期」における就職率の低下は不本意な就職を見送ったから生じたという側面もあろう。 変化の理由としては、経験者採用や起業機会も増えていて、新卒で慌てて就職しなくても済むという余裕があったためか、あるいは、高齢化が進み、労働力不足が一層深刻になるだろうという将来展望を採用企業側が抱くようになっていて、新卒者の方に有利な状況が生じたためと考えられる。 それとも、新卒者の意識に変化が生じ、就職先自体にこだわりがなくなり、就職できた会社は皆第一志望と思うようになったためなのかもしれない。実際、第一志望の会社に入れた者は増えているのに、同じ調査の別の設問では、「今の会社に一生勤めよう」と思っている者はむしろ、減っているのである(図録3184参照)。 (2018年6月15日収録)
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