詐欺事件として過去最大の規模であるのは1987年に摘発された豊田商事事件の2,025億円であり、2002年の全国八葉(はちよう)物流による1,550億円がこれに次いでいる。 会長の波和二容疑者が組織犯罪処罰法違反容疑で逮捕された「円天」詐欺事件の集金金総額は、これらに次ぐ1,260億円であると警視庁などが認定した。 こうした詐欺事件は相互に水脈でつながっている面もある。「会長の波和二(75)は、過去に携わったマルチ商法の仲間をL&G役員に多数登用。「リッチランド」や「経済革命倶楽部」による詐欺事件で逮捕されたメンバーも一時期、経営に参画して資金集めのノウハウを蓄積したとされる。」(東京新聞2009.2.6) また、詐欺事件とまではいえないものの消費者が被害を受けた事件で集金額が大きいのは、畜産会社「安愚楽牧場」が経営破綻した事件であり、長年、出資金の半分程度を配当に回す「自転車操業」の状態だったのに対して、2009年、同社の財務諸表の不備を指摘した農水省から所管を引き継いだ消費者庁が適切に対処できなかったことが問題とされている(東京新聞2013.6.26)。 さらに、磁石を埋め込んだ健康グッズの販売預託商法を展開していた「ジャパンライフ」について、警視庁などの合同捜査本部は2020年9月18日、創業者で元会長の山口隆祥容疑者(78)など元幹部ら計14人を詐欺容疑で逮捕した。同社は03年ごろから、磁気ネックレスやベルトなどの健康グッズを数百万円で顧客に販売し、商品は第三者に貸し出す形にして顧客(オーナー)が年6%程度のレンタル料(配当)を得られるとする「レンタルオーナー制度」という預託商法を始めた。だが、実際は新たな顧客が支払った代金を従来の顧客への配当に充てる自転車操業を続けていたとみられる(毎日新聞2020.9.18夕)。 同社は顧客を勧誘する際、山口元会長が安倍晋三前首相主催の「桜を見る会」に招待されたことを宣伝資料に盛り込むなど政界とのつながりを利用していたことも判明、野党が国会で安倍前首相を追及していた。 「販売預託商法」は、企業が顧客に購入させた商品を預かり、運用して利益を上げることで配当を出すとうたう方式。商品が存在しなかったり、代金を別の顧客に配当したりするだけの自転車操業で運営する事例が多い。消費者庁は2020年7月、預託法などの改正に向けた骨子案に預託商法の原則禁止を盛り込んでいる。
(2009年2月6日収録、2013年6月26日更新、2020年9月19日更新、2023年10月5日悪徳商法年表)
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