理由としては、(1)警察庁発表の方が数字が大きい(2010年であると13年連続3万人台と分かりやすい)、(2)警察庁発表は、年齢別の他、職業別や原因・動機別といっった人口動態統計では得られない情報が存在しており、記事や話題として取り上げやすい、などが考えられる。 統計結果を分析用の情報源として多用する者は、人口動態統計が調査統計であり、しかも指定統計であり、統計基準・定義、調査方法、公表義務に関して明確になっているのに対して、警察庁資料は業務統計であり、定義、方法等が余り明確でなく、当局の恣意が入る可能性があることから、前者を重んじる傾向がある(人口動態統計と警察庁業務統計との相異についてはこのページ末尾参照)。この図録でも人口動態統計を基本としているのは同じ理由である。しかし、一般によく引用されるデータについては検証しておきたい。また、人口動態統計では得られない職業別の結果は見てみたい。そこで、ここでは警察庁の発表データを取り上げた。 まず、総数ベースの両統計の結果数字の比較であるが、1980年代後半から警察庁データの方が人口動態統計を上回る傾向が見られる。 もっとも両者の推移はほぼパラレルに推移しており、信頼性は高いと判断できる。 職業別の自殺者数を見ると、もっとも多いのは、失業者と高齢退職者を含む「無職者」であり、「被雇用者」、「自営者」がこれに続いている。 1998年の自殺者急増については、いずれの職業も急増しており、失業者数の急増とパラレルな動きだったとはいえ、必ずしも失業者だけの問題ではなかったことが分かる(図録2740参照)。下表の通り、この時期の経済変動の自営者への影響は非常に大きかったと見られる。
職業別には、かなり細かい分類で自殺者数が発表されているので2つ目の図に示した。 (人口動態統計の作成プロセス) 人口動態統計月報(概数)(平成23年7月分)では、東日本大震災による月報数値への影響と関連して人口動態統計の作成プロセスを整理しているので以下に引用する。
(自殺数に関する人口動態統計と警察庁業務統計との相異) 厚生労働省の自殺死亡統計資料に自殺数に関する人口動態統計と警察庁業務統計との相異に関する記載があったので以下に転載する。
(2004年9月8日収録、05年1月29日人口動態統計と警察庁業務統計との相異について追加、2006年6月23日更新、2008年7月7日更新、2009年9月28日更新、2011年6月7日更新、12月7日「人口動態統計の作成プロセス」追加、2012年5月15日更新、2014年7月4日更新、2018年6月5日更新)
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