日本の高校生は、男女とも、女らしさ、男らしさ、男は女を守るべきといった点に関する意識で、比較対象国の韓国、米国、中国と比べ、最も意識が低くなっている(「男は女を守るべき」に関し女子だけは韓国より高いのが例外)。 各国共通して、男らしさに対する意識より女らしさに対する意識が低いという一般傾向が見られる。 また、日韓、特に韓国では、米国、中国と比べて、意識の男女差が大きい点も目立っている。男子の方が女らしさや男らしさをある程度意識しているのに対して女子はそうした点にこだわらない傾向を示している。 日本の場合、女子高校生が女らしくすべきだと考えている比率は22.5%であるのに対して、男子高校生が男らしくすべきだと考えている比率は49.2%であり、後者の前者に対する倍率は2.2倍である。男子の方ばかりが性別を意識している状況がうかがえる。 同じ比率を他国で算出すると、韓国は2.1倍、米国、中国は1.2倍となっており、日韓に対して米国、中国は、こうした男女の性別に関する意識差は小さい。 全体として、日本の女子高生は、女らしさを意識している者が22.5%と非常に低い割合となっている点が特に目立つ。「大和なでしこ」などという用語は死語に近い。積極的に女らしさから脱却しているというより、日本では現代に適応した女らしさの概念が創出できていないという側面が強いのではないかと思われる。 次に、関連した設問の結果を見てみよう。 日本青少年研究所の同じ調査で「もし生まれ変われるとしたら男として生まれたいか女として生まれたい」という問に対する女子高校生の回答は以下の通りである。 (日本人成人男女を対象とした同じ問いに対する回答の長期推移は図録2475参照)。 生まれ変われるとしたら(女子高校生の回答)
(資料)日本青少年研究所「高校生の生活と意識に関する調査」 男女差別が残っていると思われる中国では、男として生まれたいの方が大きく上回っているが、その他の国では、同じ女性として生まれたいとする比率の方が高い。ただし日本の場合は両者の差は最も小さい。生まれ変われるとしても男ではなく女として生まれたいとする割合が米国の女子高生の場合格段に高くなっているのは、女性としての人生に独自の魅力を見出しているためと考えざるをえない。 なお、日韓は共通した意識の傾向にあるが、違いもある。以下に示した「わがままは男らしさの特徴か、女らしさの特徴か」に関する調査結果によれば、日本は米国、中国と共通して女らしさの特徴だと答える者が男女とも多かった(特に日本では女子が自らそう思っている割合が高い)が、韓国では女らしさの特徴というより男らしさの特徴と男女ともに考えている。韓国ではわがままなのは男なのだ。 「わがまま」なのは男らしさか女らしさか
(2008年12月17日収録)
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