愛情生活についての国際比較調査をパリに本社を構える世界的なマーケティング・リサーチ会社であるイプソス社が行っているので、それを見てみよう。 愛情生活に関しては「恋愛や性生活」、「愛されていると感じること」、「配偶者やパートナーとの関係」という3項目への満足度を聞いている。驚いたことに、日本は、世界最低の満足度となっている。中でも「恋愛や性生活」に対する満足度は各国と比較してもかなり低く、Durex社データにもとづく図録2318を裏打ちするデータとなっている。少なくとも日本が他国と比較してかけ離れて満足度は低い点は共通している(下図参照)。 冒頭の図に戻ると、世界の中ではタイ、ペルー、インドといった途上国で満足度が高く、主要先進国G7諸国の中で満足度の高い英国や米国も世界の中では中位水準となっている。 日本と並んで韓国の満足度も低いが、それについで男性が愛を強調する印象のあるイタリアの満足度が低くなっているのは、やや、意外である。 日本人もいつまでも満足度の低い従来型の夫婦関係にとどまってはいられない。家制度が解体してから多くの年月を重ね、図録2428で見たように社会的な脈絡から空気のような存在となっていた日本人の夫婦もさすがに欧米の夫婦のように愛情を求めあう存在へと変化してきていると考えられる。 ところが、図録2307で見た結婚生活における不安として「二人の間でおこる問題の解決」や「二人の相性」は日本でもかなり増えており、いまや、フランスやスウェーデン並みとなっている。こうした点にも家を支える同志というより互いの愛情を重視する夫婦関係へと転換しつつある動きをうかがうことが出来るのである。 東京新聞の「つれあいにモノ申す」という毎週掲載される投稿コラムは日本人の夫婦関係をよく映し出している。例えば、「口は災いのもと」(2020.11.18)は、 「毎日1回ハグすると、寿命が延びるんですって」と妻。テレビで見たらしい。「私たちも...」と近づく姿に「これ以上、延びなくてもいいんじゃない?」と言いながら、思わず後ずさりした。(口が滑った・76歳) (2024年12月24日収録)
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