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どの国も「互いに誠実」を第1の項目としてあげており、この点は世界共通の観点であることが分かる。ただ、日本以外の他の国は8〜9割の回答率なのに対して日本は58.3%とかなり低く、第2位の「十分な収入」と大差がない点が異なっている。 第2位にあげられた項目は、日本、韓国では「十分な収入」であり、米国では「性的魅力の保持」、フランス、スウェーデンでは「家事・育児の分担」である。 こうした点に各国の特徴があらわれているといえよう。 「家事・育児の分担」は、日本も41.7%と順位は3位であるが、比率的にはフランス、スウェーデンと同水準となっている。韓国、米国は意外と思われるほどこの点は低い回答率となっている。日本の実態は、家事・育児の分担の程度は少ないので(図録2322)、この分、結婚生活が円滑でないと日本の夫婦は考えているのかもしれない。 「性的魅力の保持」は米国のほかフランスでも高い値を得ている。互いに異性として魅力的であり続けることが夫婦円満の秘訣と強く意識されているわけであるが、日韓のような儒教圏では、この点は低い回答率しか得られていない。特に日本は2.6%と欧米と比べ極端に低く、文化の違いを感じさせる結果である。 どの国も「親との同居」より「親との別居」の方が値が高いが、「親との別居」は日韓より欧米の方が回答率が高くなっている。 全体的に見て、日本の特徴は、「互いに誠実」と「性的魅力の保持」への回答率が他国と比較して低い点にある。すなわち、夫婦同士なら特段に誠実さにこだわることもなく、また、夫婦は男としての魅力や女としての魅力でむすびついていなければならないわけでもないといった考え方が日本人の特徴である。 夫婦は家(イエ)や家計を一緒に支える同志であるにすぎず、家(イエ)存続自体の重要性に比べたら、第一義的な価値を主張できるようなものではないという日本人の夫婦観があらわれている結果だといえよう。欧米人にはなかなか理解されにくいと考えられる。 日本人の回答で「互いに誠実」という回答が余り高くないのは、主に男の問題だとする声が聞こえてきそうなので、この項目を含む主な4項目について、男女別の結果を以下に掲げた。「互いに誠実」については、他国は男女がほとんど同じ値であるのと比べると確かに女性の方がやや高いがそれほど目立つ差ではないといえよう。いずれの国民も「十分な収入」では男性の回答が高く(韓国を除く)、「家事・育児の分担」では女性の回答が高くなっている。「性的魅力の保持」では、韓国、米国で男性の回答が高くなっており、男としての魅力を保持しなければという気持ち、あるいは妻にはセクシーでいて欲しいという男性の気持ちの方が女性の同様な気持ちに勝っているようだ。 通常の国際意識調査では欧米に対して日本と韓国は類似した回答となる場合が多いが、この設問では、回答結果は、欧米と似ていないばかりでなく、韓国とも似ていない。日本人の夫婦観は、儒教の影響というよりは、日本独自のイエ制度を背景にしているからだといえよう(図録1309参照)。 (2009年1月2日収録、2015年6月9日更新、2018年1月23日新規作成の点グラフをメイン図に。コメント補訂、1月26日男女別)
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