2018年の住宅・土地統計調査(総務省統計局)によれば、住宅6,240.7万戸のうち13.6%にあたる848.9万戸が空き家となっている。空き家の数は高度成長期末期の1973年の172万戸から増加を続け、5倍近くになっている。

 こうした空き家数の推移を掲げた。地方を中心に空き家が増えている状況を、自宅周辺に空き家を見かけるかという世論調査結果から探ったグラフを図録7669に掲げたので参照されたい。

 居住利用されていない住宅である空き家のうち別荘や賃貸や売却用の住宅を除き、長期不在なのは349万戸であり、防災や防犯、衛生、景観への悪影響が指摘されている。人口減少で今後も増加が見込まれ、建物の状態が悪化する前に有効活用を促したり、危険な建物を解体したりする必要がある。

 このため、政府が2023年通常国会に提出しようとしてる空き家対策特別措置法の改正案の内容は以下の通りである。

「空き家の活用を重点的に進める「促進区域」を市町村が設定し、カフェや宿泊施設へ転用しやすくする。法施行後5年間で100区域を目指す。倒壊寸前など緊急性が高い場合、手続きの一部を省いて自治体が撤去。管理が不十分な空き家は税の軽減対象から除外し、事実上の増税で所有者に早期の対応を求める」(東京新聞2023.1.24)。

 具体的には以下のような内容となっている。

「促進区域は、観光振興に取り組むエリアや中心市街地などに設けることを想定。市町村が区域や活用指針を定める。用途が住宅や公共施設に限定されているエリアでも、指針に明記すれば、店舗や旅館への転用を特例で認める。

 接する道路が幅四メートル未満の建物を建て替える場合、四メートル以上になるよう位置をずらす義務があるが、安全確保を条件に免除する特例も設ける。

 老朽化で利活用が難しい空き家は撤去を円滑にする。現行でも倒壊の恐れがあれば、指導、勧告、命令を経て自治体が撤去する「代執行」と呼ばれる仕組みがある。台風や地震で損壊が進むなど緊急性が高いときには、一部手続きを省いて撤去できるようにする。

 一方、住宅がある土地は固定資産税を軽減する優遇制度があるが、倒壊などの危険がある「特定空き家」は対象外としている。倒壊の恐れは低くても、一部が破損したままなどの物件を「管理不全空き家」とする規定を新設。自治体が修繕や建て替えを指導しても従わず、勧告段階まで進んだ物件は、優遇の対象外とする」(同上)。

(2023年2月22日収録)


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