日本の女医比率はOECD諸国の中で最も低いという特徴がある。日本に次いで韓国がやはり20%台と低くなっており、医学がインテリのみが習得できる輸入学問だったという後進国としての歴史的背景や教え諭すような立場には男性が就くのが適切だというような儒教的な文化背景が影響している可能性があろう。 小学校教師の女性比率でも日本がトルコを除くと、やはり、OECD諸国中最低である点にも同様の背景が考えられよう(図録3852参照)。 国際的には女医比率はかなり国によってばらつきが大きいこともグラフを見ると分かる。バルト海諸国では女医比率がおおむね7割台となっており、大半が女医である点が目立っている。 東欧諸国についても50%以上とバルト海諸国に次いで女医比率が高い国が多く、北欧諸国もこれに近い。英国、ドイツ、フランス、イタリアといった西欧主要国は、OECD平均を下回っており、米国はさらに30%台と低くなっている。 なお、15年ほど前と比較すると、多くの国で、女医比率が大きく上昇しており、これが世界の趨勢であることが分かる。 原資料となったOECDの報告書は、このデータについて、以下のようにコメントしている。 「保健医療分野の就業者には全体として女性が多いが、ケア職業の中でも臨床医のような高度な技術を要するもののほとんどでは、なお、比率が低くなっている。(中略)しかし、医師の男女比については、ますます、女性の比率が高まりつつある。1990年には29%でしかなかったOECD諸国の女医比率は、2000年に39%、2015年には46%にまで上昇しているのである。しかし、臨床医のような高度な技術を要する職業に女性が進出している場合でも、専門職としては最も給与の低い場合が多い。フランスやカナダのような国のエビデンスによれば、高い給与の専門職である外科医というより一般的な総合医において女医比率は高くなっているのである」(OECD(2017)The Pursuit of Gender Equality:An Uphill Battle, p.265)。 対象国はOECD諸国35カ国であり、具体的には、女医比率の低い方から、日本、韓国、ルクセンブルク、米国、アイスランド、チリ、オーストラリア、トルコ、スイス、ベルギー、イタリア、ギリシャ、イスラエル、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、フランス、ドイツ、英国、オーストリア、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スペイン、ポルトガル、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、フィンランド、スロベニア、リトアニア、エストニア、ラトビアである。 (2018年1月21日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|