*The World Economy: A Millennial Perspective/ Historical Statistics (Development Centre Studies) 結論的には、近代以前の世界の平均寿命は20歳代。産業革命時代の欧米や江戸時代の日本は30歳代。遅れていた日本は1950年以降に一気に欧米を抜き去る。 最も古い時代の推計としてはローマ時代のエジプト33-258年の推計値が24歳とされる。1000年頃の世界の平均寿命も多分24歳ぐらいだったとされる(マディソン同資料)。14〜15世紀のイングランドが24歳、18世紀のフランスが25歳とヨーロッパ中世もこれとほとんど変わらない水準である。 1820年になってもインドでは古代エジプトを下回る21歳、世界平均でも同年に26歳と途上国では19世紀となってもなお古代的水準にあったことがうかがわれる。 なお、平均寿命は出生時の平均余命であり、死亡リスクの高かった生まれてからしばらくを乗り切った人間の平均余命は20歳台ということはなかった点には留意が必要である。1歳未満の乳児死亡率がローマ時代のエジプトでは1000人当たり329人、イングランド1301-1425年では218人、フランス1740-49年では296人と非常に高かったので平均寿命が20歳台と短かったのである。 日本の江戸時代には30歳台と同時代の世界と比べてそれほど低い平均寿命ではなかった。しかし、その後、1820年、1900年、1950年の各年では、先行して産業革命を達成していた英国、フランス、米国と比較して、平均寿命が低くなっており、キャッチアップが国家的課題であった。 ところが日本の平均寿命の伸びはその後著しく、1999年段階では一気に欧米を上回り、世界一の地位を達成した(海外と比較した戦後の毎年の動きは図録1610参照)。 以下には、古い時代の日本人の寿命の表を示した。縄文時代と室町時代で大差がなかったようであり、この時期の日本人の寿命は14〜17歳だった。もっともこれは乳幼児死亡率が高かったためであり、5歳まで生き残った者の平均余命は21〜23歳とこれより長かった。また、江戸時代の寿命としては、アンガス・マディソンが掲げる上の研究例はやや短く、ここでは14地域の事例の平均が男40歳、女42歳となっている。なお、縄文、室町の寿命推計は人骨の推定死亡年齢により、江戸時代の寿命推計は古文書(過去帳)の死亡記録によっている。
図録1559では、日本人について、平均寿命の代わりに年齢別の死亡数構成から時代の変遷を追ったので参照されたい。 最後に、諸資料から日本人の寿命の変遷を追った書籍のデータをグラフにした。 (2010年8月2日収録、2015年2月26日古い時代の日本人の寿命データ追加、2017年9月29日寿命図鑑)
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