少子化対策がますます重要な課題になる中、内閣府の少子化担当部局は、少子化に関する国際意識調査を行っている。対象国は、合計特殊出生率の低い国から日本、韓国、比較的出生率の高い国として米国、フランス、スウェーデン、英国である(調査年により多少の違い)。

 欲しい子どもの数に達していない者に子どもをもっと増やしたいかという問には、日本、韓国は、「増やしたくない」が約半数を占め、子どもが産みにくい状況を端的に示している。逆に、米国、フランス、スウェーデン、英国は、「増やしたい」が7〜9割を占め、出生意欲の旺盛さを示している。

 こうした各国比較結果は、ほぼ、各国の合計特殊出生率の高さを比例しているのが印象的である(図録1550参照)。

 子育てしていて負担に思うことをきいた結果では、スウェーデンを除いて各国とも「出費がかさむ」が一位となっており、経済的な負担の変わらぬ重要性を示している。

 中でも韓国は、73.6%と4分の3の者がこれを一位としており、塾費用など教育熱の過熱している韓国では、経済的な面からの子育ての困難がいかに厳しいかを示している(図録3950参照)。米国も同様に金銭面の負担を大きく感じている。

 出生率の低い日本と韓国で、共通しているのは、経済的な負担とともに、「自由時間への制約」が第2位で高くなっている点である。同じ調査の男女の役割分担に関する調査結果では、この2カ国は、欧米諸国と異なり、子育ての役割が夫婦共同というより、妻の役割とされる傾向が強く、こうした点が、「自由時間への制約」を負担として感じる者が多い大きな理由となっていると考えられる。

 この他では、「子供の病気」が負担の5位までで各国とも登場しており、この点は各国共通なこと、また、20歳代後半より30歳代前半の出生率が高いスウェーデンでは「身体的疲労」が第1位でかつ高い回答率を示している点などが目立っている。

 なお、図録1546では、同じ調査の結果から、子育てのしやすさ、子育て制度利用経験を取り上げて、グラフ化と分析を行っているので参照されたい。

(2006年5月1日収録、2011年5月31日更新、2018年3月26日更新) 


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