国際化、グローバリゼーションの進展に伴い、国際結婚は増加している。日本人と外国人の結婚は、1960年代には4〜5千件であったが、1980年代、特にその後半から、急増しはじめ、1983年に1万件、1989年に2万件、1999年に3万件、そして2005年に4万件を越えた。 ところが2006年の4.47万人をピークに減少に転じ、その後6〜7年間は減少傾向が続いた。これには2007年秋以降のリーマンショックによる景気低迷と日本在住の外国人数の減少が大きく影響しているといえる。2013年からは外国人数は、再度、増加に転じ、それにともない国際結婚も少し遅れて2016年には増加に転じている。 婚姻数全体に占める国際結婚の比率は、実数以上に大きく上昇して来た。1970年代にはなお1%を下回っていた国際結婚比率は、1989年には3%を上回り、2006年には、6.1%が国際結婚となった。その後、フィリピン女性との婚姻数の激減など結婚件数の大幅な減少に伴って比率も低下し、2013〜15年には3.3%となった。16年以降、再度、国際結婚比率は上昇し、2019年には3.7%まで回復している。 日本にいる外国人は約300万人(外国人登録数)と総人口の3%以下であるのと比較しても国際結婚の比率はかなり高いといえよう(外国人登録数は図録1180参照)。嫁不足現象は農村からはじまって、都市にも広がっていると言われるが、日本人男女同士のミスマッチが国際結婚の増加を生んでいる側面も無視できないと思われる。 国際結婚が多くなるに伴って、外国人との結婚の破綻(離婚)も増加しており、2009年には、離婚件数全体の7.7%を占めている。概して国際結婚比率より国際離婚比率の方が高いので、外国人との結婚が日本人同士より壊れやすいといえるのかもしれない(結婚後配偶者が日本国籍を取得する場合もありその場合は離婚は国際離婚とならないので、国際離婚はやはり多いというべきであろう)。結婚があって離婚があるので、国際結婚が2006年をピークに減少に転じたのに遅れて国際離婚は2009年をピークに減少に転じた。 国際結婚の内容であるが、日本人女性が外国人を夫にする場合と、日本人男性が外国人を妻にする場合とがあるが、少し前まで後者の急増が目立っていた。1974年までは外国人夫が外国人妻を上回っていたが、75年から逆転し、現在では、ほぼ外国人妻が外国人夫の2〜3倍となっている。2011年以降は3倍を下回り2倍に近づいており、再度、均衡に向かっている。 外国人妻の国別推移については、かつては多くが在日が主と考えられる韓国・朝鮮人女性が多かったが、1992年以降、フィリピン女性が最多となり、1997年以降は、中国人女性が最多となっている。近年、フィリピン女性との婚姻が急減しているが、国内在住の若いフィリピン女性が少なくなったことが背景として指摘できる(図録1187参照)。 一方、外国人夫の場合は、1970年までは米国人が最多であったが、1971年以降は韓国・朝鮮人男性が最多となった(日本人女性と結婚し帰化する在日の男性も多かったと思われる)が、韓国・朝鮮籍男性との結婚は1996年から減少に転じ、それに代わって、米国人や中国人の他、「その他」に示される多種多様な国の男性との結婚が大きく増加しているのが目立っている。 国際結婚の増加に伴って、混血の子どもが増えている。スポーツ界でも以下のように、ハーフの選手の活躍が目立っている(注)。 (注)古くは大相撲の大鵬の父が樺太に亡命したハリコフのウクライナ人(コサック騎兵出身)であることが知られている。来日したロシアのプーチン大統領との会話が大鵬の著書「巨人、大鵬、卵焼き――私の履歴書」(日本経済新聞社刊)ではこうふれられている。 「私にもロシアの血が入っていますよ」と話しかけると、柔道など格闘技好きの大統領は、私のこともよく知っているようで「それだから、日本で最高の力士になれたんですね」と言う。私は、「ええ、その父に誇りを持っています」
日本だけでなく東アジア地域では、結婚相手として外国人女性との結婚が増えている(関連して、日本以外のシンガポール、台湾、香港などではメイドやベビーシッターなどの家庭内労働者として外国人が多く働いている)。ここでは、早瀬保子・大淵寛編著「世界主要国・地域の人口問題 (人口学ライブラリー 8)」原書房(2010)に掲載されている台湾と韓国の状況、及び同様の状況にあるスペインの事例を以下に引用する。 (台湾) 「台湾では、毎年の婚姻件数のうち配偶者のいずれかが外国籍であるケースが7%程度(日本では約5%)を占め、そのうち90%以上が台湾男性と外国人女性の夫婦、中でも中国大陸籍の女性を妻とするケースが大半を占めている。出生においても、外国籍の母から生まれる子どもの割合が、出生総数の10分の1を占めている(日本では約2%)。」(p.71) (韓国) 「韓国でも国際結婚が増えており婚姻全体の10%以上を占める。90%近くが朝鮮族を主とした中国およびベトナムやフィリピン等の東南アジア諸国の女性と韓国人男性の組み合わせで、夫の職業が農林水産業である割合が高く、男女ともに菜根が多くなっている。言葉の障壁が小さい中国大陸女性の動きが、東アジア諸地域の人口変動にこれまでになく大きな影響を及ばしはじめた。」(p.71〜72) (スペイン) 「スペインの場合、ラテンアメリカに対する積極的な移民政策は、少子高齢化の影響を受け、国内で需要が充たされなくなった、特定労働市場への移民労働力の導入がその目的であった。現在、再生産の補助活動(介護・育児・家事)のみならず、出産の担い手の役割を移民とその家族に見出そうとする意図が見られるが、祖先や血のつながりに加えて、宗教・言語といった基層文化の共有という、スペインとラテンアメリカの特有の関係が前提となっている。」(p.215) (2006年9月12日収録、2008年11月25日更新、2010年11月16日更新、台湾・韓国の国際結婚及びスペインに関するコメント追加、2011年9月2日更新、2013年9月5日更新、2018年7月24日更新、ハーフスポーツ選手、2020年7月25日更新、2021年5月19日更新、6月7日笹生、6月27日デーデー・ブルーノ、2022年3月16日大鵬、2023年6月17日ドルーリー朱瑛里)
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