OECDとEUは連携して各国共通の定義で人口密度の高い都市部=都市核(City Core)とその通勤圏の後背地(commuteing zone)を含む都市域を「機能的都市圏」として定めている(末尾コラムに詳細)。OECD諸国のみが対象となっている点で国連データより対象範囲は狭いが、国連データより厳密に都市を定義しており、また各都市圏の緑地率など人口以外のデータが整備されているので先進国の都市間比較には便利である。 ここでは、OECD主要都市の機能的都市圏(FUA)人口と同人口増加率をグラフで示した。 ここでも人口規模が最大なのは東京の3,600万人である。 機能的都市圏の定義で特徴的なのは、第2位が韓国のソウルの2,300万人である点である(ソウルは上の国連の大都市定義では20位以下)。 以下、次のような1000万人以上の都市が続いている。 3位 メキシコシティ(メキシコ) 4位 ニューヨーク(米国) 5位 ロサンゼルス(米国) 6位 大阪(日本) 7位 イスタンブール(トルコ) 8位 パリ(フランス) 9位 ロンドン(英国) 全体的な特徴としては以下のような点が認められる。
人口増減率(2010〜19年)については、多くの場合、10〜20%増となっている。最大はモンテレイ(メキシコ)の23.4%であり、ルクセンブルクの22.3%、メルボルン(オーストラリア)の21.8%がおれに次いでいる。日本の大都市の人口増加率は世界的な水準との比較では低く、東京は3.4%とかろうじてプラスだが、大阪はマイナス1.2%、名古屋は0.6%と低迷している。日本以外では人口規模第2位都市のソウルがマイナス1.4%とピークを過ぎているのが目立っている。(資料)OECD.Stat(2024.5.5) 参考までに人口600万人以上の大都市の人口と人口増加率との相関図を下に掲げた。巨大都市ほど人口の伸びは低くなっていることが分かる。東京はそうした世界的傾向からは巨大都市にもかかわらず一定の人口増加傾向が見られる点が特異ともとらえられる。 取り上げた都市名を図の順に示すと、ロンドン、マンチェスター、ダブリン、パリ、ブリュッセル、アムステルダム、ルクセンブルク、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ルール地方、ウィーン、ベルン、ローマ、ミラノ、リスボン、マドリード、バルセロナ、コペンハーゲン、ストックホルム、ヘルシンキ、ワルシャワ、プラハ、ブダペスト、アテネ、アンカラ、イスタンブール、東京、大阪、名古屋、ソウル、シドニー、メルボルン、オークランド、トロント、モントリオール、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ワシントン、サンフランシスコ、フィラデルフィア、ダラス、ヒューストン、マイアミ、アトランタ、メキシコシティ、グアダラハラ、モンテレイ、ボゴタ、メデジン、サンチャゴである。 (2024年5月8日収録)
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