中国もインドも、国単位ではコメ(イネ)が首位であるが、地域別に見ると、アジアモンスーン地帯と共通のコメ(イネ)農耕圏とヨーロッパ・西アジア・中央アジアと共通の小麦農耕圏の双方を抱える点で同じ構造を有していることが明瞭である。 中国の北部やインドの西部では小麦やトウモロコシ・雑穀が主となっているが、アジアモンスーン気候の影響が強い中国南部やインド東部やインド南部沿岸部は稲作地帯となっている。。 中国の揚子江流域などの中国南部や四川省はコメが主な作物であるが、東北部や内モンゴル及び雲南省はトウモロコシ(東北部でかつて大きかったコーリャンは減少)、黄河流域や北西部は小麦、チベット自治区はその他穀物(主食ツァンパ(麦焦がし)はハダカオオムギからつくられる)、重慶市と貴州省はいも類が主要作物となっている。中国国内においても地域によって多様であることがうかがえる(中国各地域基本データについては図録8225参照)。 中国の揚子江以北の畑作地帯については、夏作と冬作がある点についても考慮に入れる必要がある。「揚子江以北は、大部分が畑作地帯で、現在は冬コムギが栽培されている。そのほとんどが二毛作地域になっている。冬期には全部がコムギに埋めつくされる。戦争中までは夏作はアワ、キビ、ゴマ、コウリャンがかなり多かったが、新中国になってからは、夏作は圧倒的にトウモロコシになってしまった」(中尾佐助「現代文明ふたつの源流―照葉樹林文化・硬葉樹林文化」朝日選書、1978年) インドはカレー料理の国である点は共通であるが、小麦からつくられるナンやチャパティとカレー料理の組み合わせの地域とコメとカレー料理の組み合わせの地域とがある訳である。 (2009年7月8日収録、2010年3月12日コメント追加、2012年6月26日穀物写真追加)
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