ところが、2014年には、生活習慣調査票で食料を経済的な理由で購入が難しいことがあったかという問を設け、これと食べた料理を記録する栄養摂取状況調査の結果とをクロスさせた集計を行っている。所得階層別の集計ではないが、食料に困るかどうかと言う直接的な貧困現象でクロスしているので、実感的には分かりやすい集計になっている。また、図録0323でふれた困窮度別の食品選択重視点の通りの選択がなされているかも確認できる。 この集計結果から、困窮層はどんな肉、どんな魚を食べているかを図録化した(食品一般については図録0227参照)。食料に困ることが「よくあった」、「ときどきあった」、「まれにあった」を、それぞれ、困窮層1〜3、「まったくなかった」を非困窮層と呼んでおく。 肉については、鶏肉と牛肉に関しては、困窮層ほど摂取量が少ないのに対して、豚肉は、困窮層1が最も摂取量が多く、困窮層2がこれに次いで多くなっており、困窮層ほど摂取量が多い肉になっている。まことに豚肉は貧乏人の味方である。 ただし、困窮層で豚肉が多いといっても、鶏肉や牛肉の少なさを補うほどではないため、肉全体としては、困窮層の摂取量は少なくなっていることもうかがえる。ハム・ソーセージなども含めた肉類全体では、下図にように困窮度1は非困窮層の0.92倍の摂取量となっている。 魚介類では、あじ・いわし類、さけ・ます、魚介缶詰、魚肉ハム・ソーセージでは、困窮層の方が摂取量が多く、その他のたい・かれい類、貝類、塩干魚介類などでは、困窮層の方が摂取量が少ない。一般的に、大衆魚は困窮層で消費が多く、高級魚は非困窮層で消費が多いといえよう。困窮層では食品選びに際して価格を重視する程度が大きいからだと考えられる(図録0323参照)。 ただし、困窮層で大衆魚の摂取が多いといっても、全体を補うほどではなく、魚介類全体としては、困窮層の摂取量は少なくなっている。すなわち、上図にように困窮度1は非困窮層の0.86倍の摂取量となっているのである。つまり、肉類よりも困窮層と非困窮層との違いが大きい。 (2019年3月22日収録)
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