経済とコロナ対策の両立が可能かが関心を持たれてきた。ここでは、この議論の基礎となる新型コロナの感染被害と実質GDP成長率の2020年における相関を描いた図を掲げた。

 感染被害の大きな国ほど成長率のマイナスが大きかったことが明快である。

 一般的には、下手に経済を浮揚させようとあがくより、感染対策に万全を期す方が、結局、経済にとっても有利であるとの主張にこの図が引用される(例えば、黒木登志夫「新型コロナの科学」中公新書、2020年12月、p.294)。

 ただし、両者が比例していない場合もある。

 例えば、米大陸と欧州では感染被害の大きな国が大きかったが、米大陸の米国やブラジルは欧州の英国、スペインなど、あるいは米大陸でもメキシコやアルゼンチンと比べて経済の落ち込みは小さかった。

 また、アジアでは、中国、韓国は感染被害の割に落ち込みが小さかったのに対して、日本やインドは感染被害の割に経済の落ち込みが大きかったことがうかがえる。

 感染被害と経済との関連では、新型コロナに対してどれほど危機感を国民がもっているかが関係しているのかもしれない。以下には2020年半ばの状況であるが、感染被害と危機感との相関を図示した。

 米国は危機感が小さかったため結局、経済への落ち込みが小さかったように見えるし、逆に、英国やスペインなどは危機感が薄かったため、その後に大きな被害を被り、結果として経済も大きく落ち込んだように見える。

 日本と韓国は両方とも危機感は高かったが、危機感に押されて対策を徹底した韓国はその後も結局経済があまり落ち込ます、逆に対策が中途半端だった日本は、結局は経済の落ち込みも大きかったようにも見える。


(2021年3月24日収録、2023年5月7日グラフの「2019年末」という誤表記を「2020年末」に修正)


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