ピューリサーチセンターが毎年春に行っている国際定例調査では、イスラム人口の多い諸国に対しては、イスラム武装組織のIS(「イスラム国」またはISIS)に対する見方を聞いている。パリで多数の死傷者を生んだISによる多発テロが起こり、世界的にISへの関心が高まったいる。イスラム人口の対IS観について知っておきたいので図にはこの結果を示した。各国のイスラム人口比率は図録9034参照。

 多くのイスラム国で多くの国民が反ISの見方を有していることが分かる。唯一の例外ともいうべきはパキスタンであるが、「反IS」というより「分からない」とする者が多い点で特異となっている。親ISの意見は、ナイジェリアで14%ともっと多く、またこれに次いでマレーシアとセネガルで11%となっている他は、いずれの国も1割以下である。

 これは国内の宗派別の意識を見てもそれほど変わらない。ISはスンニ派の武装組織といわれるが、レバノンではシーア派もスンニ派もほとんどの者が反ISである。ブルキナファソ、ナイジェリア、マレーシアでは、他宗教と比較してイスラム教徒は多少「親IS」が多くなっている。ナイジェリアのイスラム教徒の20%が「親IS」と言うのはやはり脅威である。

 全体的には世界的に見て大方のイスラム教徒がISのテロ活動に対して反感をもっていることがうかがえる。

(2015年11月19日収録)


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