ここでは、報じられた幹部自衛官(将官や上級の一佐など)の防衛関連産業への天下り数と契約額(下表)から相関図を描いてみた。 確かに全体としては比例関係が成立しているようである(R2値は0.6855)。同紙が報じるように「天下り数と支払額はほぼ比例しており、「人とカネ」を通じた防衛省と防衛産業の密接な関係が裏付けられた。」といってもよいようにも思う。 随意契約の場合、密接な関係が生まれる傾向にある。「武器は生産できる会社が限られているため、随意契約が多いのが特徴だ。例えば、戦闘機と戦車は三菱重工業しか造れず、潜水艦は同社と川ア造船(川ア重工業の子会社)にしか建造能力がない。」 ただし、上位4社(三菱重工業、三菱電機、川崎重工業、NEC)を除く16社の相関では、相関度はほとんどない(R2値は0.099)。これは毎年の変動があるためで契約高の10年累積で相関を見れば、相関度はもっと高いのかも知れない。あるいは、契約高500億円以下の防衛産業では、天下り数と契約額はそもそも比例していないのかも知れない。東京新聞は比例しない例として燃料供給社をあげている。随意契約ではなく「競争入札を通じて燃料を納めている中川物産、新日本石油(現JX日鉱日石エネルギー)、コスモ石油に天下りは一人もいない。」 図からはNECが契約額の割に天下り数が多いようにみえる。こうした外れ値について、分かりやすい説明があれば比例関係の説得力は増すのであるが。
一般的に自衛官の退職後の就職先が限られている点については図録5221参照。それが良し悪しは別にして自衛官と防衛産業とのつながりを強めている点は否めないと考えられる。 防衛省からの顧問・嘱託等の採用数
(2010年9月21日収録)
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