ここでは、その世界平均の結果を月次で、また日本、米国、ドイツ、韓国については年次で推移をあらわしたグラフを掲載した。 世界平均で2019年まで「失業」、「貧困・格差」、「犯罪・暴力」、「政財界腐敗」(=汚職・Financial/political corruption)の4大懸念事項が世界の人々の意識にのぼっていた。 ところが、2020年からは、折から大流行がはじまった新型コロナへの懸念とそれにともなう失業の懸念が世界中で1位、2位に浮上した。 その後、新型コロナのインパクトが弱まりつつあった2022年にはロシアのウクライナ軍事侵攻がはじまり、それにともなってエネルギーや穀物価格の上昇を通じ、インフレの懸念が大きく高まり、世界最大の懸念事項となった。 コロナ懸念とインフレ懸念がX字交差で推移していることから、コロナの鎮静化とともに生じた巨大なリベンジ消費に供給力が追いつかなかったことで世界的なインフレとなり、それをたまたま起こったロシアのウクライナ侵攻がさらに促したという見方もかなり説得力をもっている。 2024年の現在では、インフレの懸念もやや収まりつつあり、再び、新型コロナ以前の4大懸念事項の時代に戻って来ている。 各国の年次推移については、大きく見れば世界平均と同様の変化を示しているとはいえ、国ごとの特徴があらわれている。 日本の推移は、新型コロナへの懸念の起伏が他国より大きい点、また2022年以降のインフレへの懸念が他国ほど高くなく、1位になったことがない点が目立っている。前者については高齢化率が世界1である点が背景にあり(図録1159)、後者については実際のところインフレ率が他国ほどでないからであろう(図録4722)。 日本は2024年に政財界腐敗への懸念が23年の13%から31%へと急増しているが、23年末以来政治問題化している自民党派閥の資金パーティ裏金疑惑のためと考えられる。 米国は、インフレへの懸念が大きい点と犯罪・暴力への懸念がこのところ2位で他国より大きくなっている点が目立っている。 ドイツでは、良識派の国民が多いせいか、貧国・格差や気候変動への懸念が以前より高いレベルにある点、経済の基調が好調であることを反映してか、失業への懸念は他国より一貫して低レベルである点などが目立っている。 韓国では、なお社会経済構造になお未熟なところを残しているためか、失業への懸念が新型コロナ以前から高く、また、政財界腐敗(汚職)への懸念が傾向的に高い点などが目立っている。 最後に、参考でに、主要な懸念事項について、懸念度世界上位3位、および世界平均と日本の懸念度のデータを示した。 懸念度トップの国は、 インフレではシンガポール 貧困・格差ではハンガリー 犯罪・暴力ではチリ 失業では南アフリカ 汚職ではインドネシア 気候変動ではタイ テロではイスラエル と多くが途上国のそれぞれ異なる国となっている。 新型コロナについては、いずれの国の懸念度も低下傾向にあるが、タイやシンガポールではなお10%以上の国民が3大懸念の1つと感じている(日本は5%)。 上には、主要国としてフランス、英国の動きを加えた図を掲載した。この両国の特徴は以下のようにまとめられる。
(2024年6月21日収録、7月3日フランス、英国追加、10月21日インフレ要因説)
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