
社会環境の劇的な変化による人とのつながりの希薄化という長年の傾向が、新型コロナウイルス感染症の拡大によって一層深刻化・顕在化し、それが福祉・医療・防災等の社会的コストを大きく増加させる側面もあることから、「孤独・孤立」が政策対象として取り上げられるようになった。 日本でも、政府は国民の「生きづらさ」や孤独・孤立に対応するため、2021年2月に「孤独・孤立対策担当大臣」を指名し、内閣官房に担当室を設置して、政府一体となった対策に乗り出し、2024年4月には「孤独・孤立対策推進法」が施行され、国を挙げて総合的かつ計画的に施策を推進する体制が整備された。 孤独・孤立の指標としては、「人とのつながり」(頼れる友人・家族の有無、友人・家族との交流頻度、社会参加状況など)と「主観的な孤独感」(人から取り残されている、孤立していると感じるか)の2つの側面から評価される。 孤独・孤立は世界的な課題であり、OECDはその点に関する報告書を作成している。ここでは、そこで取り上げられている「人のつながり」を示す指標のひとつである「困った時に頼れる友人・家族がいるか」(ギャラップ調査)についての国際比較データをグラフ化した(もう1つの指標である「交流頻度」は図録9499参照)。 日本の値は87.0%とOECD平均の90.4%より低く、OECD諸国の中で低い方から第8位と比較的低い(すなわち孤独・孤立度は比較的高い)水準となっている。 G7諸国及び韓国について低い方から主要国を並べると 1.韓国 80.5% 2.フランス 85.8% 3.イタリア 86.0% 4.日本 87.0% 5.英国 87.5% 6.米国 88.0% 7.ドイツ 90.5% 8.カナダ 91.6% であり、日本は主要国の中では孤独・孤立について中位水準と言ってよいだろう。 「人のつながり」のもう1つの指標である「交流頻度」は図録9499に掲げたが、そちらの方が日本の孤独・孤立度の高さが目立っている。 グラフには男女別のデータも表示したが、日本の場合、男性は82.9%と女性の90.9%を大きく下回っており、男女差がもっとも大きい国である点が目立っている。日本は男性だけで比較すると韓国に次いで第2位の孤独・孤立度なのである。 日本人男性は自己完結型の家制度的な精神で生きており(注)、妻の社会的なつながりを通じて社会との関係を保っている側面が大きいと言えよう。従って、高齢男性が死別して独り身となると、それだけ孤独・孤立のマイナス面が大きくのしかかることになると考えられる。 (注)外部に対して夫婦が協力して「家」の体裁を保とうとする気風が残っている日本においては、夫婦関係のみが緊密でその他の人間関係が希薄である点について図録2428でふれたので参照されたい。 (2026年3月13日収録)
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