男女不平等であれば女性の幸福度が男性に対して低くなるはずである。すなわち右下がりの傾向が認められるはずである。 図を見るとやや右下がりの傾向が求められる。回帰分析をしてみると傾き=-2.8019、R2=0.075であり、かなり相関度は低いという結果である。 なお、更新前の2010年期の世界価値観調査の結果で回帰分析をしてみると傾き=-0.004911、R2=0.000000058であり、全く無相関という結果だった。 相関度が低い理由は謎である。しかし、ここまで相関度が低いのは、むしろ、そういう方向で何らかの力や作用が働いているのではという疑問を抱いてもおかしくなかろう。すなわち、男女の幸福度格差を打ち消すように男女の不平等が生じているのではなかろうか。 男女の幸福度格差そのものについては図録9484参照。 最後に、男女不平等度についての別の指標で相関を追った図を以下に掲げておいた。 奇妙なことに、冒頭の相関図で使用した国連開発計画が作成している「ジェンダー不平等指数」より、以下の図で使用した世界経済フォーラム(スイスのシンクタンク)が作成している「ジェンダーギャップ指数」の方ばかりが公表されるたびにマスコミ各社によって大きく報道される。 これは「ジェンダーギャップ指数」の方が日本の男女平等度のランキングがずっと低く、その分目立っていて取り上げやすいからである。例えば、2021年報告書における順位は156カ国中120位であり、前回2019年報告書の121位(153カ国中)に引き続き、非常に低い順位だった。これは国連開発計画の人間開発報告書における「ジェンダー不平等指数」における24位と比べても余りの差である。 何故、このようなランキングの差が生じるかというと、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」は閣僚の男女比率や管理職比率など政治・経済分野のウエイトが高い点、また国連開発計画の「ジェンダー不平等指数」が重視しているリプロダクティブ・ヘルス分野の妊産婦死亡率や未成年出生率などの指標が入っていない点から生じている。 この結果、日本における政治・経済面における女性の地位の低さがきわめて強調されるランキングになっている訳である。 そして、下図に見るように幸福度の男女格差との相関についても、相関度は非常に低いものになっている。 (2017年5月8日収録、2021年4月2日更新、4月4日ジェンダーギャップ指数を使った相関)
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