
イプソス社は、米国、中国、ロシアに対して信頼できるか(can be trusted)をそれぞれ別々の設問で問う世界意識調査を行っている。図はその結果を1つのグラフにあらわしたものである。 2026年1月の米国陸軍特殊部隊によるベネズエラのマドゥロ大統領夫妻の拘束、米国への強制送付、さらに米国トランプ大統領による同国石油資源の米石油企業による開発の表明に対しては、中国やロシアからの非難ばかりでなく国際社会が大きな懸念表明を招く事態となっている(作戦への明確な賛意を表明しているのはイタリアとイスラエルぐらい−AFP=時事2026.1.4)。以下のコメントはそれ以前のデータに基づくものである点に留意されたい。 調査対象となった30カ国の平均では、中国を信頼するが37%、米国を信頼するが36%、ロシアを信頼するが27%と中国への信頼度が最も高かった。本来、自国への信頼度は意味が異なるので、米国は対象から外すべきなのかもしれない。そうであれば、米国への信頼度の平均はさらに低まる。 日本は米国への信頼度が34%と中国、ロシアへの信頼度11%、10%と比較すると格段に高い。30か国平均と比べると米国は同等だが、中国、ロシアの平均と比べると非常に低い。 国数でも3か国のうちで中国を最も信頼する「親中」が16か国と最も多く、日本のように米国を最も信頼する「親米」は12か国(米国の自己評価を除くと11か国)とかなり少ない。 ただし、ロシアを最も信頼するという「親露」はインドネシアとインドの2か国のみである。 インドネシアは米国不信が顕著であるだけに、親露、親中がはっきりしている。米国は信頼できないとするインドネシア人の意識の背景としては、1965年の政変(大量虐殺、図録5228d)への米国関与、9.11以降の対テロ戦争にともなう米国の反イスラム、さらに最近の親イスラエルの姿勢が考えられる。インドネシアと同様、マレーシア、トルコといったイスラム教国では、総じて米国不信が顕著である。 中国への信頼度の高い国は、中南米やアジアで多くなっているが、欧米諸国でもイタリア、スペイン、ニュージーランド、アイルランド、ベルギーは米国への信頼度を若干であるが上回っている。 日本同様、米国への信頼度が中国への信頼度を目立って大きく上回っているのは、ポーランド、韓国、英国である。日本と似ているのは日本を含め4か国だけであり、日本の常識は世界では必ずしも通用しないことが分かる。。 欧米諸国でも、フランス、オランダ、ドイツ、カナダ、スウェーデンといった国では、米国への信頼度が首位とはいえ、信頼度そのものは高くなく、米国、中国、ロシアへの信頼度が全般的に低い。 米国トランプ大統領は他地域からの中南米を含む西半球の不干渉をうたうモンロー宣言ならぬドンロー(ドナルド+モンロー)宣言を宣しているそうだが、米国を最も信頼できるとしている国の中には中南米は1国も含まれず、かなり独善的に見えることは否めまい。中南米を親中から親米へと逆転させようとそうした宣言を行ったとも言える。 ここで取り上げた30カ国は、具体的には、図の順に、インドネシア、インド、ペルー、マレーシア、南アフリカ、メキシコ、タイ、シンガポール、コロンビア、チリ、アルゼンチン、トルコ、ブラジル、イタリア、スペイン、ニュージーランド、アイルランド、ベルギー、米国、ポーランド、韓国、英国、ハンガリー、日本、オーストラリア、フランス、オランダ、ドイツ、カナダ、スウェーデンである。 (2026年1月4日収録)
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