各主要国についてOECD Regional Outlook 2011はこれまでの地域所得格差の推移をジニ係数で掲載している。格差計測の対象となる地域区分は一応相互に比較可能な同一レベル、すなわちTL2(地域レベル2)で行われているが(コラム参照)、国により地域区分は区分法、区分数ともに様々なので必ずしもジニ係数の大きい国ほど地域格差が大きいとはいえない。むしろ値の経年変化にデータの主たる意義が存する。もっともおおざっぱには各国の格差レベルを判定することは可能であろう。

 ドイツは東西統合後、当初、極めて高い地域格差を生じたが、統合後、3年で落ち着いた動きに転じた。もっとも旧東西ドイツの地域格差は解消されたわけでなく、図のジニ係数はもっとも高い値となっている。

 各国のジニ係数は高い3か国、すなわちドイツ、イタリア、米国と低い3か国、すなわち日本、フランス、韓国という対比が認められる。

 各国の共通した傾向は、地域格差が傾向的に上昇している国はなく、むしろ、低下傾向にある国が多いという点である。敢えて傾向的に上昇していると判定することが可能なのは米国ぐらいであろう。

 この図録のようなTL2(地域レベル2)ではなく、TL3(地域レベル3、日本では都道府県)での比較を図録8390に掲げたが、これによると日本の地域所得格差はOECD及びBRICSの中で最低レベルである。また韓国の地域所得格差を7区分ではなく16区分でジニ係数を計算すると0.192とかなり高いレベルとなっている。


(2012年4月30日収録、2024年5月10日コラムを独立化)


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