京都市が入り込み観光客に対して行っている調査から、どんなおみやげ(土産品)が購入されているかをきいた結果を示した。

 お土産を購入しなかった者は13.2%であり、87%と9割近くは京都のお土産を何か買い求めたことが分かる。

 お土産のうち最も購入割合が高いのは「漬物」であり、33.1%と3分の1の観光客が買い求めている。

 次に多いのは、「生八つ橋」であり、、八つ橋という和菓子が、京都みやげに占める地位の高さがうかがわれる。複数回答であるので、「生八つ橋」と生でない「八つ橋」を両方とも買う者がないとは言い切れないが、もし、どちらかしか買っていないとしたら、京都の観光客は4割近く(28.6%+10.8%)が「八つ橋」を買っていることになる。

 「八つ橋」のほか、「餅類」、「まんじゅう」、「せんべい類」などまで含めると京都の和菓子を買い求めている者は「漬物」を上回っている可能性が高い。

 京都といえば、和菓子が特に知られているが(図録7765参照)、「洋菓子」も単品でカウントすると19.1%と京都みやげとしてかなり評判が高いことが分かる。

 八つ橋(八ッ橋)は、米粉、砂糖、ニッキ(シナモン)を混ぜて蒸した生地を焼き上げて完成させるが、生八つ橋は、焼かずに生地のままのものである。「焼き八つ橋」でなく「生八つ橋」なのは、「生八つ橋」の方が特別だからだ。

 八つ橋の名前の由来は、二説ある。一つは、箏曲の礎を築いたとされる江戸時代前期の箏曲家・八橋検校(やつはしけんぎょう)にちなんだ箏(琴)だという説。もう一つは、「伊勢物語」に登場するカキツバタが咲き誇る三河国の「八橋」から来たという説である(東京新聞2019.8.9)。いずれにせよ生八つ橋の形状からは本来の由来である琴や橋は想起できないので、生八つ橋の方が売れているからといって、これを八つ橋と呼んで、焼いた方を焼き八つ橋という風にはならないのである。

 「八つ橋」については、2018年6月、八つ橋の大手「聖護院八ツ橋総本店」が「元禄2(1689)年創業」をうたうのは虚偽だとして、1805年創業とされるライバル店の老舗「井筒八ツ橋本舗」から、不正競争防止法に基づき、創業年などの表示をやめ、600万円の損害賠償を支払うよう訴えが起こったことが話題となった。

 京都で八つ橋を扱う店は15社あり、京都八ツ橋商工業協同組合に加盟しており、売り上げ規模も100億円を超すといわれる(2018.6.6、ヤフーニュース、中村智彦神戸国際大学経済学部教授)。

 京都には神社仏閣が多く、「お守り・お札等」を買って帰る観光客も16.4%にのぼっている。扇子や箸など「和雑貨」も1割を越えている。

 年齢別に見ると、「生八つ橋」は20代までの若年層で多く、「洋菓子」は30代〜40代で多く、両方とも高年層では少ないという傾向がある。逆に、「漬物」や「まんじゅう」は、高年層で多いという傾向が認められる。

 なお、生でない[八つ橋」も20歳未満が31.6%であるのに対して60歳以上は10.2%と「生八つ橋」と同様、若年層で多い購買傾向となっている。

(2018年7月17日収録、2019年8月9日更新、八つ橋コメント拡充)


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