県人気質に対する見方を「特異性」意識と「愛着度」の2面から測り、前者をX軸、後者をY軸とした相関図で示した。 沖縄は両面とも最も高い回答率を示している点で目立っている。すなわち、沖縄県民は、自らが他の県とは違った特徴のある考え方をもっていると感じ、また、自らの土地の人情が好きである程度が、都道府県の中で最も高い。 県人気質に特徴があって好きと考えている程度の高い都道府県としては、沖縄の他、北海道、青森、宮崎、島根、高知など、大都市圏から遠い北海道・東北、九州、北陸、山陰、四国地方の諸県で占められている。 逆に、埼玉、神奈川、千葉といった東京近郊地域では、特異性の意識は低く、また県人気質への愛着度も低くなっている。関西では兵庫がこれに近い特徴をもっている。 全体傾向としては、正の相関となっており、県民の考え方に特徴があると感じていればいるほど、愛着もわくというかたちになっている。これは当然ともいえる結果である。 もっとも地方によってバラツキもある。東京や京都では、考え方に特徴はあると思っているが、それほど愛着をもっていない。京都人には京都人らしい特徴はあるけれど、必ずしも好きじゃない、という訳である(注)。 逆に、長崎、和歌山、福岡などは、県人気質について、他県と比べて特徴はないかも知れないが、それでも結構好きという結果になっている。 なお、関連して各県民の県民意識の強さについては図録7772を参照。また、ここでの「県人気質への愛着度」を「愛郷心」として県内各地域ごとに確かめた結果を図録7776aに掲げたので参照されたい。 (注)京都人の特徴についてはしばしば語られているが、以下に引用した1人の京都人による述懐も典型的なものと思われる。文は宮崎学。1945年生まれ。京都市伏見区出身。グリコ・森永事件で警察に「キツネ目の男」としてマークされる。96年に「突破者」を刊行後、やくざ者等についての著作家に転身。 「「千本鳥居」と呼ばれる朱色の鳥居のトンネルで知られる京都の伏見稲荷大社。裏参道の巨大な石鳥居があるのですが、その近くで私は生まれ育ちました。…63歳。人生の3分の2は東京で過ごしました。京都に帰りたいという気持ちがある半面、嫌だとも思う。個人的な経験から言えば、京都という共同体は排他的。言い過ぎかも知れないが、人間の精神的特徴が「いけず」、つまり意地が悪い。実は、71年に東京から戻って家業の解体業を継いだんだけども約30億円の負債を抱えて倒産したんですよ。そのとき痛いほど感じました。京都という土地が持つ歴史的に蓄積された心根をね。美しい神社仏閣の風景とは違った心象風景を見てしまったんです。」(「私だけのふるさと」毎日新聞2009.1.15夕刊) (2009年1月14日収録、1月19日京都人述懐引用)
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